タン事務局長の日本訪問―政府及び業界関係者との会談
2023/03/03
WIPO事務局長のダレン・タンは2023年2月27日から3月2日に日本を訪問し、イノベーション、創造性や知財が事業発展にどの様に重要であるかにつき、政府高官、業界関係者、イノベーター及び学生と、意見交換を行いました。
二者間会談
タン事務局長は林芳正外務大臣との会談において、日本のWIPOへの協力、また、イノベーションや創造性に関する国際対話促進への貢献に謝意を示しました。林外務大臣からは、知財がスタートアップや新規事業の発展を促す環境を構築する上で重要であるとの意見が示されました。
また、西村康稔経済産業大臣との会談においては、効率的なイノベーションエコシステムの実現における政府や国際機関の役割、また国際社会への働きかけにつき意見交換を行いました。
さらに、タン事務局長は濱野幸一特許庁長官とWIPO及び特許庁の先端技術分野における協力やイノベーションの推進、グリーン技術の普及につき認識を共有しました。
また、タン事務局長は、永岡桂子文部科学大臣、都倉俊一文化庁長官と会談し、世界の創造、文化、芸術の振興に向け、クリエイターの権利保護における国際協力の重要性を確認しました。
数々の歴史的な遺産や伝統的な文化が残る都市として知られる京都市の門川大作市長と会談し、どのように伝統的な物が新しい技術の基礎になるかにつき意見交換を行いました。
産業界をけん引するリーダーやイノベーターとの意見交換
タン事務局長は一般社団法人 日本知的財産協会(JIPA)主催の第22回JIPA知財シンポジウムにて、変わりゆく世界における知財の影響力について来賓講演を行い、柵山正樹会長率いる同会代表団と意見交換を行いました。
タン事務局長は、小松陽一郎弁護士ら、日本弁護士連合会知的財産センター、弁護士知財ネットに属するメンバーと会談を行い、法律専門家が様々な知的財産の活用をどのように促進できるかについて議論を行いました。
また、株式会社小学館ミュージック&デジタルエンタテイメント久保 雅一取締役とは、AIやメタバース、更に技術とエンターテイメント業界の融合に関して意見交換がなされました。さらに、内藤昭男セイコーウオッチ代表取締役社長と会談し、同社の伝統的な時計製造の分野を超えた革新的な事業展開の紹介を受けました。
株式会社プロアシストの代表取締役 生駒京子社長との面会では、包摂的な知財エコシステムがどのように社会に浸透するか、また、文化的なイノベーションを重視する環境はどのように醸成できるか、幅広い議論が交わされました。また京都リサーチパーク(株)に訪問し、同社岡正治郎常務取締役による調整のもと、地元京都のイノベーターや起業家たちと意見交換が実現し、無形資産における知財の活発な役割や、女性や中小企業、若者への十分な機会を提供する多様性・包摂性の達成について議論がなされました。
更に、タン事務局長は日経新聞の取材を受け、WIPOがより包摂的なグローバルな知財エコシステムの構築に向け注力している旨をお話ししました。
アカデミア・学生たちとの意見交換
タン事務局長は大阪大学を訪れ、2022年よりWIPO GREENパートナーとして参加する同大学への謝意を西尾章治郎総長に伝えました。大阪大学ではキャンパスに企業等を招き共創を実現しています。
事務局長はさらに、キャンパス内の核物理研究センターを訪れたほか、スタートアップの立ち上げに尽力するInventors’ Clubの学生や研究員と意見交換を行いました。