知的財産の男女格差を埋める
2021/05/21
2021年4月28日、WIPOは、知的財産(IP)制度への女性の参加に特化した定期的会合の第一回目を開催しました。この一連の会合の目的は以下のとおりです。
- 男女間におけるイノベーションの格差を埋めることの重要性についての意識を高め、知的財産エコシステムに参加する女性及び女児を増やす。
- この分野におけるWIPOの活動の成果を促進する。
- 世界中の利害関係者を集め、女性及び女児が知的財産制度にアクセスする際に直面する障壁に対処するための経験と実践を共有する。
今回の定期的会合は、「障壁のマッピングと対処」と題したセッションから始まり、世界貿易機関(WTO)及びWIPOに対するエルサルバドル大使であるPatricia Benedetti氏が司会を務めました。このセッションでは、女性が知的財産制度をより多くの人に利用してもらい、より大きな利益を得ることを妨げている既存の障壁について注目しました。また、チリや韓国の調査結果とケーススタディをもとに、女性のイノベーションへの参加を促進する機会についても考察しました。
本セッションでは、WIPO地域・国家開発部門事務局次長のHasan Kleibが開会の言葉を述べ、格差は改善されたものの、依然として大きく存在していることを強調しました。また、誰もが等しく格差から失うものがあるとし、知的財産エコシステムに女性がより多く参加できるように協力していくことが重要であると述べました。
パネリスト:
パネリストからは、女性がイノベーションと発明に参加しようとするときに直面する最も一般的な障壁のいくつかが提起されました。
- 資金や知識などに関するリソースへのアクセスの欠如
- STEM分野やその他の知的財産関連分野での女性の割合が低く、ロールモデルに触れる機会が限られていること
- 知的財産権の価値についての理解の欠如
- 差別、偏見、性差別、社会文化的規範と期待
さらに、男女別のデータやその他のジェンダーに配慮した指標が限られているため、政策立案者や知財実務者は知的財産の男女格差の幅と深さをよりよく理解することができません。
パネリストは、これらの障壁に対処するための提言を行いました。例えば、チリからは、知財事務局でジェンダーに配慮した方針を採用すること、韓国からは、女性発明家に的を絞った能力開発活動を提供することなどが挙げられました。
セッションのフルバージョンは、WebCastingからご覧いただけます。
この定期的会合は、メキシコの提案に基づき、2018年11月に開催された開発と知的財産に関する委員会(CDIP)の第22回目のセッションで決定された枠組みの中で始まりました。
今後の予定
「知的財産の男女格差を埋める–複数の利害関係者のイニシアチブを探る(Closing the Gender Gap in Intellectual Property – Exploring Multi-Stakeholder initiatives)」のセッションについて近日中に発表予定です。
関連情報
イノベーションと起業家精神における女性の役割の向上、発展途上国の女性による知的財産制度の利用の促進に関するDAプロジェクト