マーカッシュ検索がPATENTSCOPEで利用可能に
2021/09/13
マーカッシュ構造とは、可変置換基を持つ化学構造を表したもので、特許文献の中で、関連する化学化合物のグループを特定するために使用されます(マーカッシュクレームとも呼ばれます)。
この度初めてPATENTSCOPEでマーカッシュ定義がインデックス化されることにより、特許出願中にテキストとして任意の名前(商業名、IUPAC名、INN等)で明示的に記載されている場合、構造式で記載されている場合、又は、特許出願に含まれるマーカッシュ定義に含まれる場合のいずれかであれば、特許文献で示されているすべての化合物を検索することができるようになりました。
マーカッシュ定義内の「構造完全一致検索」は、ブール論理(Boolean logic)を使用して他の検索条件やロジックと組み合わせることもできます。実装されているマーカッシュ検索機能は、エキスパート機能(部分構造マーカッシュ検索、あいまいマーカッシュ検索)も提供しています。ただし、これは有料の専門的なシステムで提供されている複雑な検索基準を導入したものであり、いくらかの制限(特に応答時間)があります。
マーカッシュ検索は、PATENTSCOPEで利用でき、ログインしたユーザーは無料で利用できます。マーカッシュの構造式はClarivate社が保有し、WIPOにライセンス供与しています。マーカッシュ検索機能は、DeepMatterグループの一員であるInfochem社が実装しています。
インデックス化されたマーカッシュ定義の対象範囲は、IP5(五大特許庁)の出願及び公開されたPCT出願です。定期的更新により、3ヶ月ごとにアップロードされます。最近に実装されたPATENTSCOPEファミリーのリンクによって、他の国の文書も検索結果リストに含まれるようになっています。
PATENTSCOPEにマーカッシュ検索が実装されたことにより、このような検索機能が世界中のすべてのユーザーに無料で提供され、また、大学や中小企業のイノベーション活動、特に現在のパンデミックに対抗するための医療分野での活動を強化します。
WIPO日本事務所では、PATENTSCOPEの一般的な使い方に関するウェビナーを日本語で開催予定です。詳細は追ってこちらのウェビナー情報ページに掲載予定です。是非御参加ください。
【参考用画面】