WIPO Lex-Judgments:日本の知財判例の蓄積が開始されました
2021/12/15
世界知的所有権機関(WIPO)が運営する世界の知的財産判決に関するデータベース:WIPO Lex-Judgments に日本の事例の蓄積が開始されました。
本年11月9日、日本の最高裁判所とWIPOとの間で、WIPO Lex-Judgments に日本の知的財産に関する判例を蓄積 していくことが合意されました。
WIPO Lex は、知的財産分野における各国・地域の法律情報に無料でアクセスできるデータベースであり、Laws(法律)、Treaties(条約)、Judgments(判決)の3つのデータベースで構成されており、現在、世界中の約200の国・機関から提供された合計約49,000の法的文書が収納されています。WIPO Lexの判決データベースであるWIPO Lex-Judgmentsには、世界の知的財産に関する主要な判決情報が格納されており、当該判決の国・地域、対象となる知的財産権、裁判所や訴訟の種類、関連する法律や条約、判決日やキーワード等で検索可能となっています。WIPO Lex-Judgments は、2020年にそのサービスが開始されて以降、参加国・地域や収録数が増加し、これまで、米国や中国等を含む24の加盟国と1つの地域機関から、合計850件を超える知的財産関連判決が収録されています。
今回の日本の参加により、今後、本データベースに日本の主要な知的財産裁判例が登録されていくと、世界の裁判官、政策立案者、弁護士、知財学者等はWIPO Lex-Judgementsを通じてこれらへのアクセスが可能となります。このグローバルデータベースの利用を通じ、日本の司法判断が各国に普及していくことが期待されます。
WIPO Lex-Judgmentsについて
2019年に設置されたWIPO Judicial Instituteは、WIPO加盟国の法的状況や経済・社会環境に応じて効率的かつ効果的に知的財産の司法行政を支援することを目的としています。その業務の一環として、WIPO Judicial Instituteは、法的な知的財産情報の利用可能性を高めるために、ウェブ上で利用可能な知的財産に関する法律・条約・判決の包括的な情報源のポータルサイトであるWIPO Lexを運営しています。
2020年に開始された判決コレクションであるWIPO Lex-Judgmentsは、知的財産に関する司法制度や判決に関する情報やデータの入手・アクセス改善に対するニーズを満たす取組です。このコレクションには、重要な影響力や先例的価値がある代表的な判決として各加盟国の裁判所・国家機関によって直接選択された司法判断が収録されています。このデータベースには、索引付けされたすべての判決の検索可能な書誌情報に加え、原語での判決全文も含まれています。さらに、各加盟国のページでは、知的財産紛争の司法構造の概要、行政・司法手続きの特徴、知的財産事件の統計、各国の判決のオンラインデータベースへのリンク等が掲載されており、世界各国のユーザーはWIPO Lex-Judgmentsを通じ、無料でこれらの情報にアクセスすることができます。