2023/06/28
2023年6月21日、WIPO日本事務所は、日本国特許庁、ならびに、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)のご後援の下、WIPO GREEN パートナーネットワーキングイベントを初めて開催しました。
本イベントは、世界一のパートナー数を誇る日本のパートナーをお招きし、WIPO GREENを通じた環境技術のオープンイノベーションの活性化に向けたご議論をいただくとともに、パートナー間の情報共有を図ることを目的としたものです。なお、本イベントの開催にあたっては、FIT/日本産業財産グローバルファンドによる支援を受けています。
イベントでは、冒頭、「この場が、環境技術のオープンイノベーションを促す、業界や業種を超えた“交差点”となることを願う」とする弊所の澤井の挨拶に始まり、特許庁の濱野幸一長官より「GX技術の普及を促すWIPO GREENを日本特許庁として支援していきたい」との来賓挨拶を、また日本知的財産協会(JIPA)の上野剛史専務理事より「WIPO GREEN設立の10年目の節目である本年に開催される有意義なイベントを通じて協力関係を強化したい」とのパートナー代表挨拶をいただき、WIPO GREEN担当責任者であるMarion (Amy) Dietterichグローバルチャレンジ部部長によるWIPO GREENの現状報告のビデオをお送りしました。さらに、日本知的財産協会(JIPA)の別宮智徳SDGsワーキングリーダーからは「多々ある登録技術の活用に向けての活動強化」について、次いで富士通株式会社 知的財産グローバルヘッドオフィスの大城貴士知的財産戦略室長からは「パートナー創出に向けての議論の場の重要性」について、三菱電機株式会社の片山秀彦知的財産渉外部部長からは「競争から共創の考え方」について、国立大学法人東京工業大学の大嶋洋一副学長(産学官連携担当)からは「研究・教育機関としてのグリーン化への貢献」について、ご講演をいただきました。
プログラムの後半では、ご参加の各機関の代表者全員から各機関の活動の紹介やWIPO GREENへのご要望、ご意見などを中心に活発な自由討議が行われました。また、終了後のレセプションでは、会場参加をいただいた参加者同士の自由なネットワーキングが行われ、盛況なイベントとなりました。
日本におけるWIPO GREENパートナーが一同に会し、ネットワーキングを図るイベントは初めての試みでしたが、現地参加とオンライン参加を合わせて72名の方々にご参加いただきました。なお、忌憚のない意見をいただくべく、パートナーの皆様のみのクローズドな会議形式を採用いたしました。
ご参加の皆様からは、地球環境問題への取り組みには、業界を超えた共創やパートナーシップが必要であること、また、知的財産活動やWIPO GREENに対する社内の意識改革が課題であることなどの多くの意見が表明されました。イベント後のアンケートにおきましても、96%もの肯定的な評価をいただき、次回の同種会合への参加希望が100%となるなど、高評価をいただきました。
WIPO日本事務所では、WIPO GREENを通じたマッチングや技術移転の成功事例の創出を促すべく、引き続きWIPO GREENパートナーの皆様と連携しつつ、取組を進めてまいります。
地球温暖化等の環境問題に対する取り組みである「WIPO GREEN」は、日本の産業界から提案され、今日では世界知的所有権機関(WIPO)の主要な施策の一つに数えられています。WIPO日本事務所は、このWIPO GREENを日本のユーザーに積極的に展開し、日本からの参加を後押しすることで、SDGs達成へ向けた活動を行っています。
WIPO GREENが有するデータベースには、世界中から12万件を超える環境技術や環境技術を必要とするニーズの情報が登録されています。また、世界中から151の機関がWIPO GREENパートナーとして参加し、WIPO GREENを戦略的に支えています(2023年6月時点)。日本からは、日本国特許庁、日本知的財産協会をはじめとする公的機関・団体や企業等がパートナーとして参加しており、また、近年は、WIPO GREENを産学官連携のプラットフォームとしての活用への期待からアカデミアからの参加が進展し、世界で最も多い49のWIPO GREENパートナーが参加しています(2023年6月時点)。
WIPO日本事務所は、知的財産の伝道師として、全国の関係機関と連携しつつ、WIPO GREENを始めとするWIPO施策の普及啓発活動に取り組んでまいります。