タン事務局長が日本訪問-政府高官及び業界関係者と会談
2024/02/26
WIPO事務局長のダレン・タンは日本を公式訪問し、知的財産(IP)に裏付けされたイノベーションと創造性をビジネス、地域社会、文化成長の原動力としてさらに促進していく方法につき、政府高官、民間企業有識者、学生代表やその他関係者らと意見交換を行いました。
2024年2月19日から4日間の滞在中、タン事務局長はWIPOと日本の数十年にわたる協力関係を称賛するとともに、更なる関係強化を約束しました。
日本国特許庁との共同声明署名式
特許庁の濱野幸一長官とともに行われた式で、タン事務局長は発展途上国や後発開発途上国のスタートアップ企業、中小企業、起業家をさらに支援するための協力協定に署名しました。
日本のFIT/日本知的財産グローバルファンドを通じて、WIPOは2024年度中に約140万スイス・フランを拠出し、最終的にこの長期プログラムを通じて約1,000の事業者に支援の機会を提供することを目指しています。
二者間会談
タン事務局長は齋藤健経済産業大臣との会談において、イノベーションの原動力となるスタートアップ、中小企業、起業家への支援の重要性について意見交換を行いました。さらに、WIPO GREENを含めたGXに貢献するために協力を継続する強い意欲を示しました。
また、2025年大阪・関西万博とWIPOと日本の協力50周年に向けて協力し、知的財産がイノベーションと地球規模課題のための強力なツールとなることの世界的に発信していく認識を共有しました。
タン事務局長は盛山正仁文部科学大臣、都倉俊一文化庁長官とも会談し、クリエイティブな経済促進のための人口知能(AI)と著作権、国際協力の重要性、クリエーターの権利保護について議論を行いました。
また、タン事務局長は辻清人外務副大臣とも会談し、日本のWIPOへの支援に対する謝意を示すとともに、日本が他のWIPO加盟国とイノベーション・エコシステムの改善に関する経験を共有できる一方で、日本のクリエイティブ・コンテンツの世界的にアピールする努力を称賛しました。
さらに、濱野幸一特許庁長官との会談では、WIPO及び特許庁の、企業による知的財産の戦略的活用を支援するための協力声明に基づく活動や、持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を視野に入れたグリーンテクノロジーのマッチング促進における協力について意見交換を行いました。
業界をけん引するリーダーやイノベーターとの意見交換
タン事務局長は、長澤健一副会長率いる一般社団法人 日本知的財産協会(JIPA)代表団と会談し、JIPA主催の第23回JIPA知財シンポジウムにて知的財産、WIPOや様々な問題について基調講演を行いました。
九州電力株式会社(九電)の取締役常務執行役員 千田善晴氏、総合研究所長 松本一道氏、コーポレート戦略部門部長 高野浩司氏との面会では、知財事業化の重要性について意見交換を行いました。またグリーンテクノロジーがいかにSDGsを支援し、知的財産の活用が世界経済の脱炭素化に向けた活動をどのように刺激できるかについて議論がなされました。
タン事務局長は、日本のスタートアップ企業とも交流し、ベンチャー企業固有の課題や機会、公的機関が中小企業に果たす役割について聞くとともに、あらゆる規模の企業の成功において知財が極めて重要な役割を果たし得ることを強調しました。
アカデミア・学生たちとの意見交換
タン事務局長は九州大学を訪問し、荒殿誠副学長、佐々木一成副学長、大西晋嗣副理事と会談し、SDGs、WIPO GREEN、グリーンテクノロジー、スタートアップ企業、大学による知的財産の活用について議論しました。
また、タン事務局長は昨年9月にWIPO日本事務所が主催した「Show and Tell Presentation Competition」の大学生ファイナリストとも面会し、知的財産を活用してビジネスの成長を促進することの重要性について述べるとともに、知的財産を活用して夢に向かう若者を支援するWIPOの強いコミットメントを改めて強調しました。