WIPOプロジェクト:ケニアのバスケット編み手達のための団体商標
2017/04/18
タイタ・タヴェタ県(ケニア)において、2017年3月1日と2日に開催されたイベントで、WIPOのサイザル・バスケットのための多段階ブランディング・プロジェクトは、締めくくりを迎えました。WIPOの支援により、このバスケット編み手達のコミュニティは、組合を形成し、団体商標を取得するため、究極的には、生活を向上させるために団結しました。
ビデオ: タイタ・バスケットのプロジェクト概要
団体商標を取得するための旅は、2017年4月3日、ケニア産業財産権機関が“タイタ・バスケット”団体商標を正式に登録したときに終わりを迎えました。WIPOとパートナーとの一年の活動により、次のことが実現しました。
- 組合を形成
- 品質基準を設定し、トレーニング・セッションを開催
- 参加者は、知的財産制度を学習
- 法律とグラフィック・デザインの支援を提供
新しい商標には、権利とともに責任が伴います。その責任には、バスケット編み手達によって採択された所定の品質基準が含まれます。この品質基準の導入以来、400名を超える女性のバスケット編み手達が、彼女達のバスケットの品質を高め調和させるため、熟練したエキスパートによるトレーニングを受けました。
地域の宝物
ケニアのタイタ・タヴェタ県で生産されるサイザル・バスケットは、多くの人に地域の宝物と見なされています。このユニークなバスケットは、世代から世代へと技術を継承してきた現地の女性達によって、伝統的な技法で制作されます。
しかし、これまで生産は分散的に行われており、バスケットの編み手達の小グループが、それぞれの村で独立運営され、インフォーマルに助け合っているだけでした。このWIPOジャパン・ファンドのプロジェクトにより、このケニアの女性達は、より大きな舞台で自分達の産品を保護し宣伝するため、団結し、知的財産制度を活用することを学んできました。
組合による協力
異なる村々のバスケット編みグループが、正式に登録された“タイタ・バスケット組合” ― 団体商標の正式な権利者、の傘の下、今や一緒に活動しています。バスケット編み手達は、ブランディングのための価値ある知的財産ツールを手に入れることに成功しました。 “タイタ・バスケット”ブランドを構築する旅の心躍る第一歩です。彼女達は、商標を使用することにより、強く、識別力があり、利益を生む地域ブランドを育てることを目指して団結しました。
組合と団体商標は、この大多数が女性のバスケット編み手コミュニティが、市場でより競争力を持つことを助けます。原材料をバルクで共同で調達することで、コストを削減し、規模の経済の恩恵を享受することが今や可能になりました。団体商標のおかげで、彼女達のバスケットは、類似の産品から容易に区別され、商標に関連づけられた品質基準は、産品に対する信頼の向上、販売の促進と拡大を助けます。
タイタ・タヴェタ県知事ジョン・ムルットゥは、次のように話しました。“バスケットの市場性に影響する問題の一つは、アイデンティティがないことでした。どれがタイタのもので、どれが他の地域のものなのか、区別がつきませんでした。もう一つの問題は、村によって、また人によって、品質に一貫性がないことでした。この場を借りて、WIPOに感謝したいと思います。WIPOが加わって、団体商標を取得するプロセスを促進し、トレーニングの機会を通して、バスケット編み手の組合として、総体的に、彼女達が受け入れることができ、マーケティングに使われるべき品質基準を持たせてくれました。私にとって、これはとても大きな一歩です。次のステップは、どのようにバスケットの販路を開拓していくかです。私たちは、アイデンティティとラベルを持った新しいバスケットの販路を開拓するため、あらゆる機会を利用していきます。”
バスケットの市場性に影響する問題の一つは、アイデンティティがないことでした。どれがタイタのもので、どれが他の地域のものなのか、区別がつきませんでした。
ジョン・ムルットゥ、タイタ・タヴェタ県知事
このプロジェクトは、日本国特許庁(JPO)、国際協力機構(JICA)、ケニア産業財産権機関(KIPI)、ケニア一村一品(OVOP)プログラム、タイタ・タヴェタ県政府の協力のもと、WIPOが主導したものです。ジャパン・ファンド ― アフリカ及びLDCが資金を提供しました。