2023/03/27
2022年8月27~28日にチュニジアのチュニスで開催された「第8回アフリカ開発会議 (TICAD VIII) 」に関連して、WIPOは2022年9月27~28日に日本国特許庁 (JPO) と共同で、中小企業のための知財・イノベーションをテーマとした地域間オンラインイベントを開催しました。
2日間にわたって開催された本イベントには、アフリカ全土から約120名の参加者が集まりました。参加者の多くは、アフリカ各国の政府職員、起業家および学術機関で働く関係者でした。
本イベントの主な目的は以下の通りでした。
WIPO地域・国内開発部門アラブ部長のWalid Abdelnasser氏および日本国特許庁審判部長の安田太氏より、開会の挨拶をいただきました。
開会の挨拶に続いて、WIPO代表より、▽知財の商業化▽産業界と学界の橋渡し▽技術・イノベーションサポートセンター (TISC) のネットワークの活用▽効果的な知財資産管理▽女性起業家の活躍推進―に焦点を当てた様々な支援活動について講演がありました。
初日の最後に、日本国特許庁総務部企画調査課課長補佐の八木敬太氏より、イノベーションの社会実装 (commercialization) のための知財の役割やJPOの取組について講演がありました。
2日目には、アラブ連盟法律部門法務部長のMaha Bahiet Zaki氏、クウェート市の湾岸協力理事会知的財産トレーニングセンター (GCC-IPTC) センター長のEman Albader氏およびモーリシャスの首都ポートルイスのLa Déchetèque社創業者のStephanie Bouloc氏より、イノベーションと起業活動における女性の役割の強化に関する経験談や成功談について発表がありました。
本イベントの最後に、WIPO FIT/日本知的財産グローバルファンド (FIT Japan IP Global) マネージャーの伏見邦彦氏より閉会の挨拶がありました。
各講演は多くの参加者から高く評価され、ディスカッション形式のセッションでは講演者に向けて活発に意見や質問が寄せられました。
アフリカ開発会議 (TICAD) は、アフリカと日本の協力活動において重要な役割を担ってきました。
「TICAD IV」が開催された2008年に、JPOはWIPOと協力して、アフリカ・後発途上国の発展に焦点を当てた工業所有権に関するファンド、「Japan FIT/IP for Africa and LDCs (アフリカ・後発途上国向け日本知的財産信託基金) 」を創設しました。本ファンドの目的は、知財制度の活用促進を通じて現地産業の成長を後押しし、取引・投資環境の改善を通じて全世界からの投資を呼び込むことにより、アフリカ諸国を支援することにありました。2008年以来、日本政府は毎年110万スイスフランをファンドに拠出しており、2015年には、発展目覚ましいアフリカの増え続けるニーズに応えるべく、その拠出金を160万スイスフランに増額しました。2019年には、「Japan FIT/IP for Africa and LDCs」と「Japan Funds-in-Trust for Industrial Property for Asia and Pacific (アジア・太平洋地域向け日本知的財産信託基金) 」が統合され、知財分野におけるグローバルなファンドとして現在の「FIT/日本知的財産グローバルファンド」が創設されました。