2023/10/31
2023年8月11日にチリのサンティアゴで、9月26日にブラジルのリオデジャネイロで、本プロジェクトの最終セミナーをそれぞれ対面式で開催しました。本プロジェクトは、FIT/日本知的財産グローバルファンドの支援を受けています。
このパイロット・プロジェクトの目的は、知財を中心とした戦略を創作物に取り入れることができるよう、ブラジルとチリの若手デザイナーが、生産者団体向けに意匠などの知財のソリューションを開発することによって、知財の保護と管理に関するスキルと知識を向上させることです。
各国の地理的表示 (GI) や団体商標 (CM) の生産者団体は、パッケージの問題のために市場における存在感を高めることができずにいる可能性がありますが、本プロジェクトは、問題解決アプローチを通じて、ブラジルとチリの若手デザイナーからなるパイロット・グループのスキルを向上させると同時に、生産者団体がパッケージの面で直面している課題に取り組むことを目的としています。
この点において、本プロジェクトは、若手デザイナーのコミュニティとGIやCMの生産者団体とを結びつけ、パッケージデザインに取り組むものであると言えます。
デザイナーに対するメンタリングやパッケージデザインの試作などの能力開発段階に続いて開催された本最終セミナーには、チリで50名、ブラジルで60名が参加しました。本セミナーは、(i) 原産地呼称産品のパッケージング・ソリューションを開発する経験を共有し、(ii) 原産地呼称産品の生産者と交流し、(iii) WIPO、ブラジル、チリから参加した知財専門家から学ぶという貴重な機会を若手デザイナーに提供することを主な目的として対面式で実施され、日本国特許庁 (JPO) が作成した意匠の戦略的活用のベストプラクティスに関するプレゼンテーションの録画も上映されました。
また、若手デザイナーが提案したパッケージデザインのプロトタイプは、自分たちが販売する商品のパッケージを生産者が考える際に、参考にすることができます。
ブラジルでは、ヴェンダ・ノーヴァ・ド・イミグランテ産のハムやソーセージ、ディヴィナ・パストーラ産のレース、マウエース産のガラナ、マッタス・デ・ミナス産のコーヒー、マーラ・ローザ産のサフランの5つのGI協会の生産者が本プロジェクトの恩恵を受けました。
チリでは、アザパ産のオリーブ、ピカ産のレモン、リグア産のキャンディー、カピタン・パステーネ産のプロシュット、プヌカパ産のスパークリングワイン、クラカビ産のキャンディー、アルトス・カンティリャーナ産のハチミツの生産者が本プロジェクトの恩恵を受けました。
このような対面式の交流によって、パッケージング・ソリューションが生産物の商品化にもたらすメリットや、創作物を保護するために知財が果たす重要な役割について、活発な議論が促されます。