WIPOグローバル・アワード2022

第1回目となる2022年のアワードは、中小企業のイノベーティブで創造的な活動の中心的役割を認識し、知的財産権を活用して経済的、社会的、文化的に社会貢献するソリューションを開発した企業を表彰するものです。

62か国から272件の応募があり、そのうち20社が最終選考に進み、5社の受賞企業が決定しました。

2022年WIPOグローバル・アワードの受賞者

知財、イノベーション、ビジネスの分野に精通し幅広い経歴を持つ7名の審査員が、受賞企業5社を選出しました。審査員は、候補者の多様性や立地を考慮しつつ、知財の商業化に成功しているか、経済、社会、文化にプラスの影響をもたらしているかなど、幅広い基準を用いて審査を行いました。


Hydraloop社 – オランダ

Hydraloop社は、水の消費量を最大45%削減する分散型水リサイクルによって、深刻化しつつある世界の水問題に取り組むための物理的製品の設計、製造、販売を行っています。

Lucence社 – シンガポール

Lucence社は、がん治療の明確化に取り組んでいるプレシジョン・オンコロジー (がん領域の精密医療) 企業であり、超高感度リキッドバイオプシー検査によって、患者の人生を一転させる可能性のある情報を医師や患者に提供し、早期発見と効果的な治療を可能にします。

Raycan社 – 中国

Raycan社は、PET (陽電子放射断層撮影) 技術の研究と製品開発を行っており、解像度が高く正確な定量化が可能な世界初のフルデジタルPETを発表しています。

Shylon社 – 中国

Shylon社は、LED技術のみを使用した建築照明を専門としており、屋外照明の設計、製造、マーケティングに取り組んでいます。

LED景観照明は、高精度分光測定テスターと色補正アルゴリズム、新しい二次光学アクセサリーソリューションによって、中国のグリーン照明に対応しており、環境に優しいグリーンな省エネルギーLED照明の開発を推進しています。

Splink社 – 日本

Splink社は、データの専門家や現場の専門家と連携し、初期の認知症などの神経変性疾患の診断において医師を支援することにより、病気の人だけでなく健康な人も支援する人工知能ソフトウェアを開発しています。

2022年WIPOグローバル・アワードのファイナリスト

受賞は逃したものの、知財を活用して各業界で先進的なソリューションを開拓している模範的な企業15社をご紹介します。

Aquamonitrix logo

Aquamonitrix社

Aquamonitrix社は、正確でシンプルかつ手頃な価格の栄養塩モニタリング用分析装置を水資源管理者に提供することに取り組んでいます。

Bigo Safe logo

Bigo Safe社

Bigo社は、被視認性が低いという自転車の問題を解決する自転車用デバイスを作成し、ハンドメイドのプロトタイプで、頭の動きに基づて光信号を作動させる斬新でシンプルな制御システムを開発しました。

中鉄隧道工程勘察設計研究院有限公司

交通、水利、エネルギーなどの技術分野を含む、トンネルの調査、設計、コンサルティングに従事しています。

ForwardX Robotics社

ForwardX社は、人工知能 (AI) とAIのインテリジェントロボット工学への応用に注力しているグローバルな技術開発企業です。

Gelatex logo

Gelatex社

ナノファイバー素材の開発・製造により、持続可能性と健康関連産業の成長を促進しています。

Global Mobility Service社

Global Mobility Service (GMS) 社は、従来型のローンやリースの与信審査に通らないために自動車を所有することができず働くことができない世界中の17億人の人々のために、FinTech (フィンテック) サービスを提供し、金融へのアクセスを創出することで、所得向上と雇用創出に取り組んでいます。

日之出産業株式会社

排水処理薬品の製造販売、排水処理設備の計画・設計・施工、排水処理設備のメンテナンス、水質分析、微生物分析を行っています。

IntoCare社

IntoCare社は、最先端の「ベストインクラス」の外科手術用デバイスの開発、製造、商品化に注力する中国のハイテク企業です。

Manaomea社

Manaomea社は、廃棄物を美に変えるユニークで循環型のアップサイクリング・ソリューション「ready-to-scale」を開発しました。あらゆる繊維廃棄物を貴重な投入資源として利用し、当社の「隠し味」である独自のバイオ樹脂とブレンドすることで、熱帯木材のような素材を作り出します。

Noriand社

Noriand社は、物流倉庫、流通企業、百貨店などで使用するウェアラブル小型バーコードスキャナーを開発しました。

Schaffengott Tritona社

SCHAFFENGOTT社は、世界中の人々の暮らしと環境を守るスマートシティ、インフラ、持続可能な住宅の安定性を創造するためにイノベーティブな取り組みを行っています。

Spacenet社

国内有数の移動式気象観測所や車載型地球局を独自に設計・開発しています。

Teqball社

湾曲したテーブルという極めてシンプルなアイデアで、年齢や性別に関係なく、いつでもどこでも、屋内でも屋外でもプレーできるスポーツを考案しました。

Thermy社

Thermy社は、サーモグラフィーと人工知能を組み合わせた、乳がん早期発見のための研究を行っています。

WIPOグローバル・アワード2022の賞品

受賞企業5社には、以下の様々な賞品が授与されました。

  • WIPOグローバル・アワードのムラーノ・トロフィー
  • 授賞式、授賞式特設ウェブページ、WIPOメディアのほか、知財関連の外部メディアを通じた宣伝、知名度、認知度の向上
  • 各受賞企業に合わせて適宜調整された「中小企業向け知財スキルアップコース」によるスキルアッププログラム
  • 事業や研究の協力をさらに拡大するための、カスタマイズされたメンターシップ・プログラムの提供と、資金や取引に関するスポンサーシップ・プログラムへのアクセスの支援
WIPO Global Awards Murano Trophy
WIPOグローバル・アワード2022ムラーノ・ガラス・トロフィー (写真提供: WIPO)