BCIRCULAR：リサイクルを利用して再利用可能なクリーンな繊維を製造する

スペイン特許商標庁による提供

問題：複合材料の炭素繊維とガラスのリサイクル。

複合材料が航空、輸送、風力などの分野でターニングポイントを形成していることに疑いの余地はありません。しかし、それらは耐用年数が終了すると、ほとんどの場合、管理されていない埋立地に行き着き、焼却され、健康と環境に有害な有毒物質を生成することもまた事実です。

この深刻な問題の解決に貢献することを目的として、スペイン国立研究評議会の国立冶金研究センターの科学者たちは、風力タービンのブレード、飛行機、ボートの炭素繊維とガラスのリサイクルに焦点を当てたスタートアップ企業、BCIRCULARを設立しました。

解決策：科学から生まれ、企業を通じて実現する。

国立研究評議会の研究所で生み出されたテクノロジーによりソリューションが誕生しました。そして、他の分野で再利用できるクリーンな繊維を製造し、輸送や建設のような分野を対象とした新しい炭素繊維に基づいた原料を作り出す唯一のテクノロジーとして、BCIRCULARにライセンス供与されました。

この技術は、風力タービンのブレードや航空産業、運輸、レジャー・娯楽分野からの廃棄物を使用した試験に成功しました。

BCIRCULARは、Repsol Foundationによる起業家支援との2年間のインキュベーション期間を経て、ライフサイクルの終了時に複合材料の炭素繊維とガラスを再生するために理事会によって開発されたテクノロジーが検証された後、設立されました。

研究グループによる長年の研究の後、このプログラムは、リサイクルを取り込んだ研究領域に基づいて新しい会社を設立することを可能にする断固たる措置でした。

当初、開発されたテクノロジーは産業秘密によって保護されていました。同社は現在、この保護および企業秘密として保持されている数々の研究成果に加えて、欧州特許番号EP3409749A1によって保護されている新しい特許技術を開発してきました。この保護は現在、アメリカ合衆国、中国、日本など、国際的に拡大されています。

同社は現在に至るまで長い道のりを歩んできており、研究室でのアイデアの発案から市場参入の前段階まで歩みを進めてきました。スペイン産業技術開発センターのNEOTECプログラムなど、公的分野による支援のおかげで、同テクノロジーは2022年に市場参入が予定されています。

そのビジネスモデルは、炭素繊維の再生や使用済み材料から回収された炭素繊維フィラメントを使用した3Dプリンティングなど、様々なテクノロジーを使用した新しい材料の創造に基づいています。

また、ライセンス供与を通じてテクノロジーを販売することもできます。同社は、EDPStarterやClimate-KICプログラムなど、その成果に価値を付加する目的で様々な加速プログラムに参加し、国際的にも認知されるようになりました。

さらに、同テクノロジーは欧州の15件以上の国際スタートアップコンテストで発表されてきました。

当初「TRC」として知られていたこの会社は、設立以来、多くの賞を受賞しており、その中でも、EIT KIC Raw Materials Accelerator賞を受賞し、バルセロナのSalón Naúticでは優勝を収めました。

BCIRCULARは、知的財産による成果の戦略的管理が、官民の連携を通じて市場ニッチを成長および拡大している全米冶金研究センター（スペイン国立研究評議会による組織）などの研究センターで何十年にもわたって作りあげられてきた知識の重要性を示す一例です。

特許の名義人に関する情報

スペイン国立研究評議会（Consejo Superior de Investigaciones Científicas）は、スペインの科学研究と技術開発のための国家機関です。その目的は、知識の進歩と経済的、社会的、文化的発展に貢献するために、学際的な科学技術研究を奨励、調整、開発、普及することです。

理事会は、スペイン全土にある120のセンターを通じて、全ての科学および技術分野の研究を実施しています。理事会はスペインで最大の特許出願人であり、スペインの他のどの機関よりも多くのヨ欧州の特許および国際特許（特許協力条約に基づく出願）を出願しており、欧州の全公的機関の中で3番目に多く欧州の特許を取得しています。

過去5年間で、理事会は437件の技術を市場開発のためにライセンス供与し、そのうち216件は特許によって保護されています。

過去10年間で、評議会が開発したテクノロジーを中心に130社を超える新しいテクノロジー企業が設立されました。