マドリッド制度: 国際登録の管理 – 「代替」について
あなたは、国際商標登録で後に指定したマドリッド締約国に国内・広域商標登録を有する名義人ですか?
答えが「はい」の場合、その国際商標登録が、該当する指定締約国では国内・広域登録を自動的に「代替」することをご存知でしたか? マドリッド制度の「代替」 (replacement) によれば、国際登録後に国内・広域登録を失効させつつ、より早い保護の日付の利益を引き継ぐことができます。
注: もとの国内・広域商標登録は、更新しないことを選択しない限り、そのまま存続します。
重要: 国内・広域商標登録を失効させる前に、国際商標登録の「5年の従属期間」が満了し、該当する指定締約国で保護が付与されたことを確認してください。
国際商標登録は、国際登録日から5年の期間、「基礎出願 (基礎登録) 」に従属します。この5年の期間内に基礎出願 (基礎登録) が何らかの理由により (例えば、拒絶・取下げ・取消し等がされたり、更新されなかったりして) 失効した場合、その国際商標登録は取り消されます。
「代替」の主なメリット
- 代替により、国内・広域の権利を単一の国際商標登録に一本化することで、商標のポートフォリオ管理の合理化、費用の削減を実現できます。
- 単一の手続で国際商標登録を更新できるだけでなく、複数の国内・広域商標登録からのより早い日付の利益を引き継ぐことができます。
「代替」の条件
- 指定の時点で、国内・広域商標登録が有効でなければなりません。
- 国際商標登録における指定は、国内商標登録の登録日より後の日付でなければなりません。
- 商標は、国内・広域登録および国際商標登録で同一でなければなりません。
- 両登録は、名義人が同一でなければなりません。
- 商品・役務リストが重複 (同一または類似) していなければなりません。
ヒント: 後の出願に係る国際商標登録が、マドリッド制度の締約国で保護を受けたい商品・役務を全てカバーしていることを確認してください。
「代替」の申請方法
実は、何もしなくても代替の利益を受けることができます。自動的に効果が生じるのです。
しかし、希望する国内・広域知財庁に「代替の記録」を申請することもできます。これにより、代替の要件が全て満たされおり、代替が認められたことを明示的に確認することができます。
「代替の記録」により、該当する知財庁において、その国の国内商標登録簿に「国際商標登録の日付の方が後ではあるが、本締約国の領域では、国内・広域登録の日から保護が認められる」旨が記録されます。
当該官庁は、「代替の記録」を行った旨をWIPOに通報し、WIPOにおいても国際登録簿に代替が記録されます。この情報はその後公表されます。
ヒント: 「代替の記録」の手続は、知財庁ごとに異なります。手数料が発生する場合もあります。詳細については、eMadridの「Madrid Member Profiles (加盟国情報データベース)」をご覧ください。調べたい知財庁を選択して、「Select details (詳細を選択)」画面において「Replacement (代替)」のボックスにチェックを入れるだけです。
「代替」の具体例
- 2010年1月1日付のオーストラリアの国内商標登録があるとします。
- 2022年3月1日に、オーストラリアを指定した国際商標出願を行います。
- オーストラリアの知財庁より保護が付与された場合、国際商標登録に基づいて2022年3月1日からオーストラリアで商標の保護が認められます。
- 国際商標登録が国内・広域登録と一致する場合 (すなわち、商標が同一で、商品・役務が重複し、名義人が同一の場合) 、その国際登録は、オーストラリアの国内商標登録を自動的に代替することになり、国内登録の日付 (2010年1月1日) が引き継がれます。
代替とBREXITについて
国際商標登録において欧州連合 (EU) を指定していた場合、BREXITの結果、当初のEU指定は英国では効力が及ばなくなったことはご存知かと思われます。
2020年12月31日までに英国知的財産庁 (UKIPO) が保護を付与した権利については、BREXIT後も引き続き保護されるよう、UKIPOにより別途、新たな英国の国内商標権が自動的に付与されています。
再び国際商標登録で英国をカバーしたい場合は、eMadridの「EXPAND PROTECTION OF YOUR REGISTRATION (登録の保護の拡張)」より事後指定を請求できます。その後、UKIPOに対して、国内登録の「代替の記録」を申請することができます。これにより、UKIPOは、国内登録簿に、国際商標登録における当初のEU指定日に言及した上で、英国での国内商標登録による保護を有する旨を記録します。
関連情報
- 動画「Transformation and replacement of an international trademark registration」(国際商標登録の転換と代替) (ウェビナー動画)
- 「Guide to the Madrid System」 (マドリッド制度に基づく標章の国際登録に関するガイド) (段落823 ~842 )
あなたは、国際商標登録で後に指定したマドリッド締約国に国内・広域商標登録を有する名義人ですか?
答えが「はい」の場合、その国際商標登録が、該当する指定締約国では国内・広域登録を自動的に「代替」することをご存知でしたか? マドリッド制度の「代替」 (replacement) によれば、国際登録後に国内・広域登録を失効させつつ、より早い保護の日付の利益を引き継ぐことができます。
注: もとの国内・広域商標登録は、更新しないことを選択しない限り、そのまま存続します。
重要: 国内・広域商標登録を失効させる前に、国際商標登録の「5年の従属期間」が満了し、該当する指定締約国で保護が付与されたことを確認してください。
国際商標登録は、国際登録日から5年の期間、「基礎出願 (基礎登録) 」に従属します。この5年の期間内に基礎出願 (基礎登録) が何らかの理由により (例えば、拒絶・取下げ・取消し等がされたり、更新されなかったりして) 失効した場合、その国際商標登録は取り消されます。
「代替」の主なメリット
- 代替により、国内・広域の権利を単一の国際商標登録に一本化することで、商標のポートフォリオ管理の合理化、費用の削減を実現できます。
- 単一の手続で国際商標登録を更新できるだけでなく、複数の国内・広域商標登録からのより早い日付の利益を引き継ぐことができます。
「代替」の条件
- 指定の時点で、国内・広域商標登録が有効でなければなりません。
- 国際商標登録における指定は、国内商標登録の登録日より後の日付でなければなりません。
- 商標は、国内・広域登録および国際商標登録で同一でなければなりません。
- 両登録は、名義人が同一でなければなりません。
- 商品・役務リストが重複 (同一または類似) していなければなりません。
ヒント: 後の出願に係る国際商標登録が、マドリッド制度の締約国で保護を受けたい商品・役務を全てカバーしていることを確認してください。
「代替」の申請方法
実は、何もしなくても代替の利益を受けることができます。自動的に効果が生じるのです。
しかし、希望する国内・広域知財庁に「代替の記録」を申請することもできます。これにより、代替の要件が全て満たされおり、代替が認められたことを明示的に確認することができます。
「代替の記録」により、該当する知財庁において、その国の国内商標登録簿に「国際商標登録の日付の方が後ではあるが、本締約国の領域では、国内・広域登録の日から保護が認められる」旨が記録されます。
当該官庁は、「代替の記録」を行った旨をWIPOに通報し、WIPOにおいても国際登録簿に代替が記録されます。この情報はその後公表されます。
ヒント: 「代替の記録」の手続は、知財庁ごとに異なります。手数料が発生する場合もあります。詳細については、eMadridの「Madrid Member Profiles (加盟国情報データベース)」をご覧ください。調べたい知財庁を選択して、「Select details (詳細を選択)」画面において「Replacement (代替)」のボックスにチェックを入れるだけです。
「代替」の具体例
- 2010年1月1日付のオーストラリアの国内商標登録があるとします。
- 2022年3月1日に、オーストラリアを指定した国際商標出願を行います。
- オーストラリアの知財庁より保護が付与された場合、国際商標登録に基づいて2022年3月1日からオーストラリアで商標の保護が認められます。
- 国際商標登録が国内・広域登録と一致する場合 (すなわち、商標が同一で、商品・役務が重複し、名義人が同一の場合) 、その国際登録は、オーストラリアの国内商標登録を自動的に代替することになり、国内登録の日付 (2010年1月1日) が引き継がれます。
代替とBREXITについて
国際商標登録において欧州連合 (EU) を指定していた場合、BREXITの結果、当初のEU指定は英国では効力が及ばなくなったことはご存知かと思われます。
2020年12月31日までに英国知的財産庁 (UKIPO) が保護を付与した権利については、BREXIT後も引き続き保護されるよう、UKIPOにより別途、新たな英国の国内商標権が自動的に付与されています。
再び国際商標登録で英国をカバーしたい場合は、eMadridの「EXPAND PROTECTION OF YOUR REGISTRATION (登録の保護の拡張)」より事後指定を請求できます。その後、UKIPOに対して、国内登録の「代替の記録」を申請することができます。これにより、UKIPOは、国内登録簿に、国際商標登録における当初のEU指定日に言及した上で、英国での国内商標登録による保護を有する旨を記録します。
関連情報
- 「Guide to the Madrid System」 (マドリッド制度に基づく標章の国際登録に関するガイド) (段落823 ~842 )