作業部会が共通規則の改正を提案

2016年6月29日

標章の国際登録に関するマドリッド制度の法的発展に関する作業部会の今次会合が2016年6月13日から17日にかけて開催されました。作業部会は、協議の結 果、マドリッド制度の利用者と締約国の官庁の利便性向上のため、国際登録の分割及び併合の記録の導入を含め、以下のように共通規則 の改正を提案しました。

WIPOに対する代理

第3規則、第25規則、第32規則を改正することにより、WIPOは、WIPOに対する代理人の選任、変更、代理人の辞任などを指定締約国の官庁に通報し、またその旨を公 報 (Gazette) に公表することになります。

更なる決定

第18規則の3(4)の改正により、指定締約国の官庁は、国際登録に係る更なる決定をWIPOに通報しやすくなります。

基礎商標の効果の終了

作業部会は、第22規則について、以下の2つの改正を提案しています。

  1. 本国官庁が基礎商標の効果の終了について「暫定的」通報を発行し最終決定がなされた場合は、当該官庁はWIPOに対してフォローアップを行うことが要求されます。こ の改正提案は、権利者の法的安全性を高め、国際登録簿の情報の正確性を確保することを目的としています。
  2. 基礎商標の効果が終了したことを受けて国際登録を取り消す場合、WIPOは、該当の範囲において、所有権の一部移転により記録された国際登録も取り消すことになりま す。

指定締約国官庁からの非居住の名義人への連絡

新設される第23規則の2により、指定締約国の国内法の規定により現地住所を有していない名義人に連絡をすることができない場合、当該官庁は、WIPOを通じて連絡す ることができるようになります。

国際登録の分割及び併合

指定締約国官庁が国際登録に係る一部の指定商品または指定役務を拒絶した場合、新設される第27規則の2により、名義人は、分割制度を利用して、保護または拒絶され た指定商品または指定役務部分を新たな国際登録とすることができます(分割登録)。国際登録簿に当該分割を記録する際にかかる料金として、177スイスフランの手数料が 提案されています。

国内法に分割または併合について規定がない締約国は、オプトアウトが適用されることになります。分割及び併合の実質的な実施に自国の国内法の改正が必要となる締 約国については、経過措置が考慮されます。

これらの提案は、2016年10月のマドリッド同盟総会の正式採択案として提出 されることとなっており、施行日については、2019年2月1日に施行予定の分割に関する提案を除き、2017年11月1日が提案される予定です。