インドにおけるマドリッド制度利用に関する市場調査報告書

2016年7月12日

インド商工省・産業政策振興局(DIPP)は、WIPOと共にインドにおけるマドリッド制度利用に関する報告 PDF,  report on the use of the Madrid System for the international registration of marks in India を 発表しました 。

本報告書は、インド経営大学院バンガロール校の調査チームにより作成され、WIPOのフランシス・ガリ事務局長とインド政府DIPPラメシュ・アビシェク次官により2016年3月31日にニューデリーで発表されました。本報告書では、インドの利用者が海外における商標保護をどのように模索しているかについて貴重な見識を得ることができます。

市場の見識

インドは2013年にマドリッド制度に加盟しました。インドの好景気と世界的ブランドの増加は、今後数年のうちにマドリッド制度のトップ利用国の1つとなる強い原動力となっています。本制度の利用数が増すことにより、国際貿易が促進されインド企業に経済的利益がもたらされることでしょう。

インド企業のマドリッド制度の潜在的重要性を認識し、インドの商標市場について深く理解するべく、この市場調査は行われました。本調査では以下の点を探りました。

  • インドにおけるマドリッド制度の認知度と知識
  • 国際商標保護の政策決定動向に影響を与える主な要因
  • 取り決めや推進のためのコミュニケーション手段

重要な所見

マドリッド制度の利用と認知度-調査対象企業の1/3以上は国際的に商標出願を行ったことがあるものの、マドリッド制度を利用したのはそのうちの1/4以下でした。この調査結果では、調査を行った企業の2/3以上がマドリッド制度を認知していることが示されたものの、その内容は表面的なものに留まっており、本システムに関連するプロセスや手順を誤解している例もありました。

国際登録に関する方針決定 -調査対象企業の半数で方針決定が実務者レベルで行われている一方、当初の国内商標登録は主に経営陣により決定されている傾向がありました。これは、多くの企業にとって、マドリッド制度に基づく商標の国際登録の優先度が低いか、あるいは、本制度を商標管理における事後の手続行為として見ていることを意味すると捉えることができます。

マドリッド制度を利用しない理由-本制度に対する関心の低さの主な理由として、回答者の大多数は、手続を知らない、コストや海外での運用に興味がないことを挙げました。一般的な商標の利益、特にマドリッド制度について、インド企業には情報の不均一性の問題が存在することが伺えます PDF,  report on the use of the Madrid System for the international registration of marks in India

次の段階

市場と利用者をより良く知ることが、インドの出願人や代理人によるマドリッド制度の利用を促進する国家的取り組みの策定や実現に役立つと思われます。

インドにおけるマドリッド制度に関するさらなる説明

背景-マドリッド制度

マドリッド制度は、出願人が本制度に加盟している国または地域の知的財産庁に単一の国際出願を行うことで、多くの国々で商標出願を行うことができる制度です。商標の保護を求める各国の知的財産庁に出願する手間を減らすことで、多くの国で商標登録を行うプロセスを簡素化するものです。また、登録内容の変更または更新の手続を一括で行うことができるため、本制度は、その後の商標管理をも簡素化します。

2015年のマドリッド制度の実績の最新データおよび追加分析については、2016年第3四半期にWIPOの知的財産統計ウェブサイトに公表されるマドリッド制度の年次総括:国際商標登録(Madrid Yearly Review: International Registration of Marks)をご覧ください。