国際登録出願の分割および合併
2019年2月1日
2019年2月1日以降、国際登録出願は分割できるようになりました。また、特定の条件のもとでは、国際登録出願は合併もできます。
マドリッド協定および議定書に基づく国際登録出願の分割および合併に関する共通規則の改正の全詳細を公開しています。
分割
例えば、指定の締約国の知財庁が、国際登録出願の対象となる商品または役務の一部のみ、または一区分内の一部の商品または役務のために国際登録を拒絶する状況では、分割は有益です。新しい規則により、名義人は、アルファベットの大文字と共に原出願と同じ番号が与えられる新しい国際登録出願(分割登録出願)に受理または拒絶された区分(または、商品または役務)を変更することで、 分割を活用できるようになりました。その結果、受理可能な区分(または、商品または役務)は、さらなる遅延なしに保護を進めることができ、名義人は好ましくない区分(または、商品または役務)については後の段階で対処することができます。
合併
以下の理由に基づいて国際登録出願の合併を申請することができます。:
1) 名義の一部変更の記録
2) 分割の記録
名義の一部変更または分割により同じ国際登録出願から分離された2つ以上の国際登録を合併することは可能です。しかし、異なる国際出願に基づく国際登録を合併することはできません。
分割の記録による合併
分割国際登録出願の合併を申請することは可能です。分割国際登録出願は、分離された国際登録出願とのみ合併が可能です。
名義の一部変更の記録による合併
名義の一部変更は、名義人が一部の指定の締約国官庁または商品および/または役務に関する変更の記録を申請する際に発生します。
また、一部譲渡は、名義人が名義の変更を申請したが、1つ以上の締約国官庁が該当地域における変更の無効通知を発行した場合に発生します。その通知は、例えば、その譲渡が市民に誤解を招くなどの理由で、国内の法律に基づいて譲渡に異議を唱える締約国官庁によって発行されます。
変更または無効通知の記録に伴って移行済みの部分は、異なる国際登録出願として記録され、アルファベットの大文字と共に原出願と同じ番号が与えられます。
例えば、名義変更の無効通知を後に取り消されるなど、同じ人物が続けて2つ以上の異なる国際登録出願の記録名義人になる場合、その人物はこれらの国際登録出願の合併を申請できます。
国際登録の分割または合併はオプションですか?
原則としては、オプションです。しかし、全ての締約国官庁が分割申請または分割登録の合併申請を受理しているわけではありません。締約国官庁は、国内の法律が分割または合併を許可していない場合、これら申請の受け入れを拒否することができます。また、締約国官庁は、新しい規則が国内の適用法に適合していない場合、それをWIPOに通知することができます。
分割申請または分割登録の合併申請を受け入れていないことをWIPOに通達している締約国官庁の詳細についてはMadrid Information Noticesをご確認ください。また、これら申請の受け入れに関する締約国官庁の状況は将来変更される可能性がありますので、ご注意ください。
また、その一方で、合併を希望する登録出願の名義人として同じ人物が記録された場合、名義の一部変更または変更の無効通知の記録に基づく国際登録の合併はいつでも申請可能です。
分割または合併の申請方法
分割
分割の申請は、様式MM22を使用して出願してください。申請は、WIPOに直接出願できず、名義人が分割の申請を希望する指定の締約国の知財庁に出願してください。国際登録出願の分割の記録に対する手数料は177スイスフランです。対象となる知財庁は、分割申請の処理にかかる費用を請求できます。この手数料はWIPOに支払われる費用とは別途発生します。
分割の記録による合併
分割登録の申請は、公式様式MM 24を使用して、分割の申請を通知する官庁を通じ、名義人によって通知されます。申請は、WIPOに直接通知することはできません。この申請に関しては、WIPOに支払われるべき手数料は発生しません。
名義の一部変更の記録による合併
名義の一部変更または変更の無効通知の記録による国際登録出願の合併の申請は、様式MM23を使用してWIPOに直接通知、または名義人の締約国の知財庁を通じて通知することができます。この申請に関しては、WIPOに支払われるべき手数料は発生しません。
分割または合併の申請に対する審査
分割
対象となる知財庁は、手数料に関する要件などが適用法の要件に適合しているかを確認するために分割申請を審査します。
知財庁が分割申請を受理した場合、WIPOに申請が通知されます。また、WIPOには保護の暫定状況が報告されたり、申請に記載されている商品または役務に関する保護の付与に関する報告が提供されたりします。
WIPOは、関連規則に記載されている手続き要件を満たしているかどうかを確認するために、分割申請を審査します。申請に欠陥がある場合、WIPOは申請を提示した知財庁および名義人に通知します。欠陥がWIPOに対する費用の不十分な支払いの対象となる場合、名義人は3ヶ月以内に未払いの残高をWIPOに直接支払います。
その他の欠陥については、知財庁は3ヶ月以内に申請を修正する必要があります。名義人が欠陥に気づき、対象となる知財庁に連絡した場合でも、欠陥は知財庁によって修正されなければなりません。WIPOはこの件に関して名義人からの直接的な問い合わせは受け付けません。知財庁が欠陥を修正しない場合、申請は取り下げられたとみなされ、名義人にはWIPO手数料の50%が返金されます。
分割が記録されると、WIPOは対象となる1つの締約国官庁に対して、申請に記載されている商品または役務(分割商品または役務)に対して分割国際登録出願を作成し、申請を提示した知財庁に通知し、名義人に連絡します。WIPOはまた、あらゆる保護の暫定状況または分割記録の申請に記載されている保護の付与に関する報告を記録します。
分割による合併
分割登録出願の合併に関する申請は、WIPOに提示する前に、適用法の要件に適合しているかどうかを確認するために、申請を受理した知財庁によって審査されます。WIPOは合併を記録し、申請を提示した知財庁に通知し、名義人に連絡します。
名義の一部変更による合併
WIPOは、関連規則に記載されている手続き要件を満たしていることを確認するために、名義の一部変更または名義人の締約国の知財庁または名義人から直接受理した変更の無効通知の記録による国際登録出願の合併に関する申請を審査します。
申請が関連規則に記載されている手続き要件を満たしている場合、WIPOは合併を記録し、指定の締約国の知財庁または記録の影響を受ける知財庁に通知し、名義人、そして申請が知財庁によって提示された場合はその知財庁に連絡します。
有効日、分割登録出願の更新、効力の停止
有効日および更新
国際登録出願の分割は、WIPOが申請を受理した日付、または、申請に欠陥があった場合は欠陥が修正された日付が記録されます。しかし、分割登録出願の有効日は、原国際登録出願と同じ日付になります。そのため、分割国際登録出願の更新日もまた、分割申請の記録された日付ではなく、原国際登録出願と同じ日付になります。
効力の停止
国際登録出願の分割部分は、原国際登録出願と同じ基本商標に基づきます。そのため、商標が登録から最初の5年(例えば、従属期間中)以内に、またはその期間に開始された行為により、何らかの理由で効力を失う場合、原国際登録出願および国際登録出願の分割部分は共に取り消されます。
2019年2月1日以前の国際登録
WIPOは、国際登録の日付にかかわらず、2019年2月1日以降に受理した分割または分割登録の合併に関する申請を全て受け入れます。
しかし、申請は分割または合併が効力を発する締約国の知財庁を通じて出願される必要があります。そして、この知財庁は、新しい規則が施行される前の日付の申請を受け入れることも、受け入れないこともできます。