「ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービス」とはどのようなものですか?
「ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービス」 (ePCT Business Continuity Service) は、ePCTシステムが技術的な障害により利用できない場合や、WIPOユーザアカウントシステムを利用してePCTにログインできない場合に、国際出願を含む各種書類を電子通信手段により安全に送信することができるサービスです。本サービスは、国際事務局 (IB) の内部システムに一切依存しない完全に独立した環境によりホスティングされるため、事業の継続性が保証されます。本サービスは、従前の「緊急用アップロードサービス (Contingency Upload Service) 」の代わりとなるものです。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスのデモ版をご利用いただけますが、あくまでテスト用ですのでご注意ください。重要: 本デモ版を通じて機密データや機密文書をアップロードしないでください。また、本デモ版を利用して実際の出願を提出しないようご注意ください。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスは、どのような状況で利用するためのものですか?
本サービスは、万が一ePCTシステムが利用できない状況下で出願人が緊急に新規出願を行う必要があったり、IBに対して書類を提出する必要がある場合などに対処するための緊急措置として開発されたものです。また、ePCTシステム自体は正常に動作しているものの、ePCTへのログインに必要なWIPOユーザアカウントシステムが利用できない場合にも、ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを利用することができます。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスでは、ePCTシステム上で提供される各種機能やデータ検証のうち、限定的な機能のみが提供されます。このため、本サービスの利用は、技術的な理由によりePCTにアクセスできない場合にのみ推奨され、高度な認証を備えたWIPOユーザアカウントの作成やePCTシステムの利用の代替手段として日常的に使用されるべきものではありません。
ただし、出願人がePCTシステムにまだ不慣れな状況下において、受理官庁としての国際事務局 (RO/IB) または他の受理官庁に対して緊急に出願を行いたい場合などに、ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを利用しようとする可能性があることは認識されています。なお、本システム経由で出願の提出が可能なのは、本システムに対応済みの受理官庁に対してのみです。
なお、ePCTの利用に必要なWIPOユーザアカウントは、数分で簡単に作成いただけます。また、2要素認証 (SMS、標準のワンタイムパスワードアプリ、またはプッシュ通知) の追加設定も簡単に行うことができます。これにより、セキュリティが強化されるだけでなく、ePCTの豊富な機能が利用可能になります (例えば、特定の出願についてIBが保有する一件書類の閲覧や、IBに加えて受理官庁 (RO) 、国際調査機関 (ISA) や国際予備審査機関 (IPEA) として行動する80以上の官庁への書類送付が可能になります) 。
詳細については、英語で提供される「ePCTスタートガイド Getting started」、日本語版の「ePCTスタートガイド/ePCTご利用開始までの流れ」およびWIPOユーザアカウントのチュートリアル動画(英語)をご覧ください。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスではどのような機能が利用できますか?
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを使って、出願人は、ePCT出願を認めるPCT受理官庁に対して新規国際出願を行うことができます。また、ePCT上で直接オンライン出願することが認められない受理官庁については、受理官庁のシステムに提出するための国際出願データの作成とダウンロードが可能です。また、本サービスを通じて、IB (RO/IBを含む) に対して中間書類をアップロードすることもできます。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスへのアクセス方法は?
万が一、ePCTシステムやWIPOユーザアカウントシステムに障害が発生した場合、通常のePCTログイン用画面の代わりにePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスのランディングページ (ログイン画面) が利用可能になります。これにより、出願人は引き続き、新規国際出願を行ったり、IBに対して書類をアップロードすることができます。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスは、https://pctcs.wipo.intから利用可能です。出願人は、氏名・名称およびメールアドレスの入力を求められます。入力したメールアドレス宛に、1時間限り有効なリンクを含む電子メールが送信されます。また、電子送信を受け付けた官庁における受信日時が記載された確認メールも、このメールアドレス宛に送信されます。なお、中間書類は、IB (RO/IBを含む) に対してのみ提出できます。
誰がePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを通じて書類を提出できますか?
どなたでもePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを通じて新規国際出願を提出することができます。ただし、IBまたはRO/IBに提出するためにアップロードする中間書類に関しては、PCTの署名要件を満たしている必要があります。出願人または権限のある代理人の署名が、提出するPDFファイルのイメージに表示されない場合、インタフェース画面においてアップロード時にテキスト形式 (英数字) またはスキャンによる読取形式で署名を提出可能です。
書類はどのファイル形式で提出できますか?
新規国際出願を行う場合、認められるファイル形式はePCT出願と同じです。中間書類の場合、認められるファイル形式は原則としてPDF形式のみですが、例外として、配列表をアップロードする場合は、国際出願日に応じてWIPO標準ST.25またはST.26に準拠した通常の形式となります。
ePCT出願とePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスを利用した出願との主な相違点は?
ePCT出願で現在利用可能な各種機能やデータ検証機能の多くがePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスでも再現されていますが、例外として、以下の重要な違いがあります。
- ePCTのアクセス権は付与されません (様式PCT/IB/301の受領後にアクセス権を請求する必要があります) 。
- 提出前に下書きを保存することはできません。
- 「アドレス帳」にアクセスすることはできません。
- 外部署名機能 (external signature feature) は利用できません。
- DAS検索 (DAS look-up) は利用できません。
- 優先権主張を維持するための提出期限について、ePCT通知は自動的に行われません。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービス経由で国際出願を行った場合、手数料減額の対象になりますか?
ePCT出願の場合と同じ手数料減額が適用されます。明細書、特許請求の範囲および要約が文字コード形式であるかにどうかに応じて、手数料表の第4項 (b) または (c) に基づき200スイスフランまたは300スイスフランの手数料減額が適用されます。
ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービス経由で提出した書類はその後どのように処理されますか?
新規国際出願の場合、ePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスでは、まず、選択された受理官庁の主たる電子出願サーバに対して新規出願の送信を試みます。送信成功の場合、通常の付番体系で国際出願番号が付与され、受理官庁は通常の手順通りに新規出願の処理を進めます。
一方、受理官庁の主たるサーバが利用できない場合、新規出願はePCTビジネス・コンティニュイティ・サービスの出願用サーバに送信され、特定の付番体系 (例えば99000番台) で国際出願番号が付与されます。受理日および国際出願番号は、電子送信を受け付けた旨の確認メールにて出願人に通知される一方で、IBは、出願の取得・処理を行うよう受理官庁と連絡を取ります。