第三者情報提供制度
第三者情報提供制度とは
(実施細則 第 801 号 (a)、第 804 号 (b))
第三者情報提供制度とは、第三者が ePCT (この場合は高度な認証なしでもご利用いただけます) を通して、特定の国際出願の請求項に記載された発明の新規性および進歩性に関する情報を提供できる制度です。対象となるのは、発明の新規性または進歩性の有無に関連すると考えられる先行技術についての情報です。この制度は、無料で利用することができます。より詳しい利用方法は、ePCT 第三者情報制度ユーザ ガイド をご覧ください。
情報の提出期限はいつですか ?
(実施細則 第 802 号 (a)(ii)、第 804 号 (b))
第三者情報提供は、対象となる国際出願 (以下「対象出願」) の国際公開日以降、優先日から 28 ヶ月までの期間中であればいつでも行うことができます。ただし、対象出願が取下げ済みである場合、またはすでに国際出願として扱われていない場合を除きます。
第三者情報提供はどのように行いますか ?
(実施細則 第 802 号 (a)(i))
第三者情報提供はすべて、ePCT (この場合は高度な認証なしでもご利用いただけます) を通して行います。ePCTの第三者情報提供機能は、直接 ePCTにアクセスするか、PATENTSCOPE の [PCT 書誌情報] タブに記載されたリンクから ePCTに移動して利用することができます。なお、ご利用には WIPOアカウント が必要です。情報提供には、対象出願の国際公開日より前に公開された先行技術文献(または優先日が対象出願の国際出願日より前の特許文献) に関する情報を少なくとも 1 件含める必要があります。また対象出願の請求項に記載された発明の新規性または進歩性に対して、各文献がどのように関連性を有するかについての簡潔な説明を含める必要があります。提供情報には、参照する先行技術文献の写しを添付することが推奨されます。
匿名で第三者情報提供を行うことはできますか ?
(実施細則 第 801 号 (b)(i))
第三者情報提供は、匿名で行うことができます。情報提供を行う際に、匿名か記名かを選択することができます。
第三者情報提供はどの言語で行うことができますか ?
(実施細則 第 802 号 (a)(iii)、第 804 号 (b))
第三者情報提供は、国際公開言語 (『PCT 出願人の手引—国際段階―』の 5.013 項参照) のいずれかで行う必要があります。ただし、先行技術文献の写しについては、どの言語であってもかまいません。
第三者情報提供に対して出願人が反論することはできますか ?
(実施細則 第 804 号 (b))
ある国際出願について第三者情報提供が行われた場合、最初の情報が国際事務局で受領された段階で、出願人に通知されます。2 件目以降の情報提供については優先日から 28 ヶ月の期間終了後に、速やかに出願人に通知されます。出願人は、優先日から 30 ヶ月までの間であれば、提供された情報に対して任意で反論できます。反論は WIPO の ePCT を通して、または国際事務局に書簡を送付して行います。出願人の反論は、英語、フランス語、または当該国際出願の国際公開言語で行います。提出された反論は、PATENTSCOPE 上で公衆の閲覧に供されます。
第三者情報提供の回数に制限はありますか ?
(実施細則 第 801 号 (b)(iii)、第 801 号 (b)(iv))
各情報提供者は、各国際出願について 1 回のみ情報提供を行うことができます。一度提出した情報を撤回することや、修正することはできません。また、各国際出願について受け付けられる情報提供は合計 10 件までです。
提供された情報はどのように処理されますか ?
(実施細則 第 802 号 (b)、第 803 号 (a)、第 804 号 (a))
提供された情報は、国際事務局によって受領され、新規性および進歩性の欠如に関連する情報であるか否かが検討されます。その後、先行技術文献情報が PATENTSCOPE 上で公衆の閲覧に供されます。ただし、添付された文献 については公衆の閲覧に供されず、出願人、関連する管轄国際機関、および指定官庁のみ閲覧可能となります。国際事務局によって提供情報が却下された場合、情報提供者には却下の理由を記載した通知が送付されます。
第三者情報提供は、関連する国際機関および指定官庁において考慮されますか ?
(実施細則 第 805 号)
第三者によって提供された情報は、管轄の国際調査機関 (国際調査報告または補充国際調査報告が国際事務局において未受理である場合) または 国際段階での審査に関与する国際予備審査機関 (特許性に関する国際予備報告 第 II 章が国際事務局において未受理である場合) に伝達されます。第三者情報は、各国際機関での報告書作成作業において考慮の対象となりうる期間内に受領される限り、すべて検討の対象となります。ただし、提供された情報に先行技術文献の写しが添付されている場合、もしくは該当する先行技術文献が各国際機関においてすぐに入手できる場合に限ります。また、提供情報は、優先日から 30 ヶ月が経過してすぐに、すべての指定官庁にも伝達されます。ただし、各指定官庁には、提供された情報を国内段階において考慮する義務はありません。