PCTニュースレター 03/2020: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
予期せぬ事態により PCT に基づく期間を徒過した場合に適用される可能性のある救済措置
Q: 当方は、法律事務所で勤務している弁理士です。係属中の PCT 出願と、近い将来提出を予定している出願が複数件あります。現在大流行している新型コロナウイルス (COVID-19) の影響を心配しており、以下の状況により所定の PCT 期限を徒過した場合に、継続中の PCT 出願およびこれから提出される出願がどうなるのか懸念しています。
- 手続きをする必要がある PCT 官庁が一時的に閉鎖された場合、または
- 当方の事務所が一時的な閉鎖を余儀なくされた場合
上述の状況により遅滞が生じる場合に、どのような救済措置が適用される可能性があるのか説明していただけますか?
A: 今月号の実務アドバイスでは、上述の状況をそれぞれ見ていき、その状況において適用される可能性のある救済措置を提案していきます。
特定の手続きをする必要がある受理官庁または他の PCT 機関、もしくは国際事務局が閉鎖された場合
PCT 規則 80.5(i) : 受理官庁 (RO) として行動している国内官庁もしくは政府間機関、国際調査機関(ISA)、補充調査に指定された機関 (SISA)、国際予備審査機関 (IPEA) 、国際事務局 (IB) または指定/選択官庁 (DO/EO) が、特定の日において公務の執行の目的で公衆に対して開庁していない場合には、その日に満了するすべての PCT の期限 (PCT 第 22 条および第 39 条で定める国内段階移行のための期限を含む) は、PCT 規則 80.5(i) に基づき、それに続き次に当該官庁または機関が開庁する日まで延⻑されます。
PCT 規則 80.5(i) は PCT における全ての期限に適用されますが、優先期間についてはパリ条約の同様の規定が適用されることに注意してください (以下の第 4 条(C)3 を参照) 。
PCT 第 8 条; パリ条約第 4 条(C)(3) : 先の出願 (あなたが国際出願で優先権主張しようとしている基礎出願) の出願日から 12 か月以内に新たな国際出願を提出できないことが懸念される場合については、パリ条約第 4 条(C)(3) で定められています。残念ながら、12 か月の期限が満了した後に国際出願が受理された場合、受理官庁が出願受理の目的で開庁していない場合にのみ救済され、出願人または代理人の事務所の営業が閉鎖されている場合には適用されません。
代理人または出願人の勤務地の一時的な閉鎖
PCT 規則 26 の 2.3 および 49 の 3.2 : ただし、12 か月の優先期間内に国際出願を提出できなかった場合に適用されうる1つの救済手段は、「優先権の回復」に関する規定の利用を試みることです。これにより、12 か月のパリ条約の優先期間を徒過した出願人は、優先権主張を回復できる可能性があります(PCT 規則 26 の 2.3 および 49 の 3.2 を参照) 。回復の請求に対する決定は、受理官庁または国内段階の指定官庁によってケースバイケースで決定され、特に出願人が「相当な注意」の基準が満たされていることを立証したい場合は、その詳細を説明する書面を提出する必要があります。ただし、一部の官庁はこれらの規則に関して不適合通知を提出していることに注意してください。(www.wipo.int/pct/en/texts/reservations/res_incomp.html)
PCT 規則 82 の 4 : RO、ISA、SISA、IPEA または IB に対して手続きする場合において適用される期間を徒過したケースについては、PCT 規則 82 の 4 がそのような状況に適用されるかもしれません。この規則は、その規則で定められる不可抗力により期間が遵守されなかったことによる遅延についての許容を規定しています。この規則により救済されるためには、出願人は、合理的にできる限り速やかに適切な措置をとったことに加えて、該当する期間の満了後 6 か月以内にそのことを示す証拠を当該官庁に提出する必要があります。期間の遵守に失敗したことを規則に従って許容するかどうかの決定は、その事案に応じて、官庁、機関または IB が決定します。ただし、この規則は、優先期間と国内段階移行期限には適用されないことに注意してください。
PCT 規則 49.6 : 上記のような理由によって、PCT 出願人が適用される期限内に国内段階に移行することができなかった場合、PCT 規則 49.6 に基づいて関連する指定官庁に権利の回復を請求することができます。これもまた指定官庁によって判断されるケースバイケースの決定であり、問題の官庁が「相当な注意」の基準を適用するか、「故意ではない」基準を適用するかによって異なります。ただし、一部の官庁はこれらの規則に関して不適合通知を提出していることに注意してください。(www.wipo.int/pct/en/texts/reservations/res_incomp.html)
期間の徒過が、指定官庁または選択官庁に対して国内段階で行われる手続きに関連する場合は、関連する国内法の下で適用可能な救済措置も利用できる場合があります (PCT 規則 82 の 2.2 を参照。そのような国内/広域法の例として、欧州特許庁の「手続続行 (further processing)」の請求 (Rule 135 EPC)があります。) この点については、関連する PCT 出願人の手引国内編を参照し、ならびに詳細については国内 (広域) 官庁にお問い合わせください。
また、郵便業務の異常により書類の提出または手数料の支払いが遅れた場合は、PCT 規則 80.5(ii)、80.6 および 82.1 を参照してください。