注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

優先権書類を提出するための要件を満たすこと

Q: 先の国内出願の優先権を主張するPCT出願を行う予定です。優先権書類の提出に関して、PCTにおける当方のオプションはどのようなものでしょうか?

A: PCT規則17.1に従い、一つ又は複数の先の出願に基づく優先権が国際出願において主張される場合、出願人は、先の国内出願ごとの認証謄本 (「優先権書類」) を提出する必要があります。この要件を満たすために出願人が利用可能なオプションを以下説明します。ただし、全てのケースについて全てのオプションが利用できるわけではない点にご注意下さい。

受理官庁に対し優先権書類を作成し送付するよう請求する

オプションの一つとして、先の出願が、国際出願についての受理官庁として行動している官庁と同一官庁に対して行われた場合には、PCT規則17.1(b) に基づいて当該受理官庁に対し、優先権書類を作成して国際事務局 (IB) に送付するよう請求するだけで要件を満たすことができます。願書様式 (PCT/RO/101) の第VI欄の該当するボックス (「優先権主張及び優先権書類」) をチェックすることにより請求が可能です。この請求は、優先日から16か月以内に行って下さい。ePCT1 (https://pct.wipo.int (訳者注: 日本語が選択可能)) を利用して国際出願を作成する場合で、追加された優先基礎出願が選択受理官庁と同一官庁に対して行われたのであれば、「優先権主張」の画面上に、当該受理官庁に対し、優先権書類を作成し送付するよう請求可能なオプションが自動的に設定されます。なお、一部の受理官庁は、優先権書類の提出に伴う手数料を徴収している点にご留意下さい (該当する受理官庁が徴収する手数料の詳細については、PCT出願人の手引 附属書Cをご参照下さい)。

WIPOデジタルアクセスサービスの利用

別のオプションとして、WIPOデジタルアクセスサービス (DAS) を活用することもできます。DASでは、第一国出願官庁 (OFF: Office of filing of the earlier application) がDASの提供庁であることを条件として、IBに対し、優先権書類として使用するための先の出願の電子的な認証謄本を取得するよう請求することができます。DASは特に、受理官庁が第一国出願官庁ではなく、そのためPCT規則17.1(b) に頼ることができない場合に便利です。ですから、該当する第一国出願官庁が提供庁であるかどうかを確認して下さい。下記は、現在DASに参加している34官庁の二文字コード国名の一覧です。

AR、AT、AU、BE (取得庁としてのみ)、BR、CA、CL、CO、CN、DK、EA、EE、EP、ES、EUIPO (意匠出願のみ対象)、FI、FR (提供庁としてのみ)、GB、GE、IB、IE (取得庁としてのみ)、IL、IN、IT (提供庁としてのみ)、JP、KR、LV、MA、MX、NL、NO、NZ、SE 及び US

詳細は、以下のDAS参加庁に関するページをご参照下さい。

https://www.wipo.int/das/en/participating_offices/ (英語)

DASが活用でき、そのサービスを希望するのであれば、最初に必要な手順は、第一国出願官庁に対し (第一国出願官庁がまだそうしていない場合)て先の出願の謄本をDASに提供するよう請求することです。請求方法は該当する第一国出願官庁の特定の要件によります。詳細は、以下のDASに関するページ

https://www.wipo.int/das/en (英語)

並びに、以下のPCT出願人の手引 附属書Bの該当部分の関連する第一国出願官庁の記載情報をご覧下さい。

/pct/en/guide/index.html (英語)

(訳者注: ページ右上の言語切替ドロップダウンリストから日本語が選択可能)

先の出願の謄本がDASで利用可能になると、その先の出願に関連するDASコードを受け取ることができます。あるいは先の出願が処理された時に付与されたコードが、アクセスコードとして使用できるようになります。例えば、US出願では、EFS-Web上の先の出願の電子受領書に記載されている確認番号がアクセスコードになります。

次の手順は、IBに対し、国際出願の一件書類用に優先権書類を取得するよう請求することです。この請求は、願書様式 (PCT/RO/101) の第VI欄の該当するボックス (「優先権主張及び優先権書類」) をチェックし、先の出願のアクセスコードを提供することで可能です。ePCTを利用して国際出願を作成する場合、「優先権主張」の画面から「国際事務局がデジタルライブラリー (DAS) から取得」のオプションを選択し、アクセスコードを入力して下さい。ePCTはDASでリアルタイムに検索を行い、アクセスコードを検証し、必要な優先権書類がデジタルライブラリーで利用可能であるかを確認します。検証が問題なく行われると、記録の写しの受領後、優先権書類はIBの処理システムから自動的に取得されます。望ましいのは、出願時にIBに対して優先権書類を取得するよう請求することですが、出願後であっても高度な認証でサインインし、オンラインアクション「優先権書類のDASからの取得」を利用することで、ePCT経由で請求を行うこともできます。

PCTニュースレター 2019年11月号と12月号の実務アドバイスでは、第一国出願官庁に対しDASシステムで優先権書類を利用可能とするよう請求することについて、そしてIBに対しDASシステムで利用可能な優先権書類を取得するよう請求することについての詳細を解説しています。ぞれぞれ以下のリンクからご参照下さい。

https://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2019/pct_news_2019_11.pdf (英語)

/pct/ja/newslett/2019/newslett_2019.pdf#page=91 (日本語)                  

https://www.wipo.int/edocs/pctndocs/en/2019/pct_news_2019_12.pdf (英語)

/pct/ja/newslett/2019/newslett_2019.pdf#page=97 (日本語)

詳細は、以下のDASに関するウェブサイト上にも掲載されています。

https://www.wipo.int/das/en/description.html (英語)

また、PCT規則17.1(bの2) に基づき、IBに対し、DASから優先権書類を取得するよう請求するための期間は、PCT規則17.1(a)2と同じとなります。そのため、以下が充足されている場合には、請求の期間は満たされたものとみなされます。

  • 第一国出願官庁に対し、必要な全ての手続を済ませたこと。そして
  • 国際出願公開日前に、IBに対し、アクセスコードを使用して有効な請求が行われたこと。

なお、IBは、DASから優先権書類を取得する手数料は徴収していません。

出願人自身が直接IBに対し優先権書類を提供する

最後のオプションとして、出願人が先の出願の認証謄本をすでに入手済みであれば、その謄本を自らIBに対して送付することも可能です。認証謄本が電子形式 (PDF) で関係する発行官庁の謄本にデジタル署名がされている場合には、最も効率の良い送付方法は、(高度な認証の有無にかかわらず) ePCTにログインしてePCTの「ドキュメントアップロード」機能を利用してIBに対し認証謄本を提出する方法です。この目的に適した認証謄本を発行している官庁は、本ニュースレター執筆時点で、以下に限られています。

  • AT - オーストリア特許庁
  • BR - 国立工業所有権機関 (ブラジル)
  • CZ - チェコ共和国工業所有権庁
  • FR - 国立工業所有権機関 (INPI) (フランス)
  • IT - イタリア特許商標庁
  • PL - ポーランド共和国特許庁
  • PT - 国立工業所有権機関 (ポルトガル)
  • US - 米国特許商標庁 (USPTO)

何らかの理由で上記のいずれの方法も利用できない場合は、優先権書類の認証謄本を宅配便や郵送により直接IBに送付することも可能ですが、IBはこの方法での書類の送付は推奨していません。

  1. 受理官庁としての米国特許商標庁に対し国際出願を行う場合には、次の点にご注意下さい。ePCTを利用して国際出願を作成する際には、ePCTとは別に、RO/USシステムへの提出用にePCT出願データパッケージを作成しダウンロードする必要があります。
  2. PCT規則17.1(a) 基づき、優先権書類は、優先日から16か月以内に出願人がIB又は受理官庁に提出する必要があります。当該期間の満了後にIBが受理した当該先の出願の写しは、その写しが国際出願の国際公開日前に到達した場合には、当該期間の末日にIBが受理したものとみなされます。