PCTは1970年に締結され、1979年に修正され、1984年及び2001年に変更されました。
PCTは、工業所有権の保護に関するパリ条約(1883)[英語版]の加盟国に開かれた条約です。批准書又は加入書はWIPO事務局長に寄託される必要があります。
本条約は、「国際」特許出願を提出することにより、多くの国々で同時に発明の特許保護を求めることを可能にするものです。締約国の居住者又は国民は、当該出願をすることができます。締約国の居住者又は国民は、一般的には国内特許庁に、又は出願人が選択する場合にはジュネーブのWIPO国際事務局に出願をすることができます。出願人が、欧州特許条約、特許及び工業意匠に関するハラレ議定書(ハラレ議定書)、アフリカ知的所有権機関設立に関する改正バンギ協定、又はユーラシア特許条約に加盟する締約国の居住者又は国民である場合には、それぞれ欧州特許庁(EPO)、アフリカ広域知的所有権機関(ARIPO)、アフリカ知的所有権機関(OAPI)、ユーラシア特許庁(EAPO)に出願することができます。
次に、国際特許出願は、いわゆる「国際調査」の対象とされます。調査は、PCT同盟総会から国際調査機関(ISA)として任命された主要特許庁によって行われます。調査結果は、国際出願において請求された発明の特許性について影響を与える可能性のある引用刊行物の一覧を掲載した「国際調査報告書」とされます。また、国際調査機関は同時に特許性に関する書面による見解を作成します。
国際調査報告書と書面による見解は国際調査機関から出願人に送付され、特に報告書又は見解が特許の認定に否定的である場合には、出願人は出願を取り下げることを選択できます。
国際出願が取り下げられない場合には、国際出願は国際調査報告書と共に国際事務局によって公開されます。
PCTに基づく手続きは、出願人、特許庁及び社会全体に対して大きな利益をもたらします。
(i) 出願人は、外国における保護の必要性についての再検討、各国における現地特許代理人の選任、必要とされる翻訳の準備、及び国内手数料の支払いのために、PCTを選択しなかった場合に比してさらに18ヶ月に及ぶ猶予を得ることができます。;PCTに規定される様式によって国際出願を行えば、指定官庁における国内段階の出願手続きにおいて方式的な理由で出願が拒絶されることがありません。;国際調査報告書及び書面による見解を基礎にして、出願人の発明の特許性についての評価を妥当な範囲で行うことができます。;出願人は、指定官庁による手続きの前に、国際予備審査の過程で国際出願の補正を行うことができます。
(ii) 国際調査報告、書面による見解、及び、場合によって国際予備審査報告書が国際出願に付さ れることにより、特許庁における調査及び審査の業務が大幅に軽減され又は実質的になくなりま す。
(iii) 全ての国際出願が国際調査報告書と共に公開されることによって、第三者にとっては、請求された発明の特許性についての根拠ある見解を得る上で有利になります。
PCTは同盟を形成します。同盟は同盟総会[英語版]を有します。全ての加盟国は同盟総会の構成員です。
同盟総会の任務のうち最も重要な事項は、条約に基づく規則の修正、同盟の二年事業計画及び予算の採択[英語版]、及びPCT制度の利用に結びつく幾つかの手数料の決定です。
PCTに関する詳細は、PCTの基本的事項、PCT出願人の手引き、及びPCTニューズレター 等のWIPO出版物によって簡単に得ることができます。
最新の締約国一覧[英語版]が利用できます。