イノベーション拡大: WIPOの国際特許出願制度が国際公開500万件目の節目を迎える
ジュネーブ,
2024/12/02
PR/2024/930
WIPOの国際特許出願制度に基づく特許出願の500万件目の国際公開が行われました。WIPOが数十年にわたり、発明者が発明の保護を世界中でより経済的かつ効率的に取得して海外展開できるよう促進してきた中で、重要な節目となりました。
特許協力条約 (PCT) に基づく手続では、出願人は1つの言語で国際特許出願を提出して単一の通貨による手数料を支払うことで、150か国以上で同時に発明の保護を求めることができます。これにより出願人は手続にかかる労力と費用を大幅に節約することができ、また人類の創意工夫の普及啓発が促進されることで世界の共通利益が拡大します。
1978年に開始したPCT制度で、この度500万件目の出願の国際公開が行われました。この出願はサムスン電子 (Samsung Electronics) による発明「Image Processing Device and Image Processing Method 」 (画像処理装置及び画像処理方法) で、写真の画像の安定性を高めて携帯電話の写真をより鮮明にさせる技術に関するものでした。
「WIPOのPCTは、約50年にわたるその歴史の中で、Bluetoothやロボットから、インターネットや携帯電話のアーキテクチャ、CRISPR、生命を守るワクチン、そして現代の電気自動車に至るまで、数々の偉大な発明を国境を越えて世界に広めるのに貢献してきました」とWIPOのダレン・タン事務局長は話します。「複数の国での特許取得を目指すイノベーターにとって、PCTは有力な選択肢です。WIPOは、最も貴重な天然資源である人間の創造力の具現化を促進するために、世界中の出願人と潜在的ユーザを支援するというPCTの目的を追求していきます。」
「注目すべきことに、PCTの500万件目の特許出願は韓国を拠点とする企業による出願です。韓国は、PCTの運用年数とほぼ同じスパンで、イノベーションと技術、創意工夫、そして人的能力を活用して経済変革を実現した国です。韓国が示しているように、知的財産が促進するイノベーションは、人類の進歩の主要な推進力となります」とタン事務局長は述べています。
PCT制度について
PCT制度は、国境を越えて発明の特許保護を求める出願人を支援する制度であると同時に、特許付与決定を行う政府機関にとっても役立つ枠組みであり、さらに特許出願の国際公開によって豊富な技術情報を公衆の利用に提供します。
PCT制度は、世界中の個人発明者や中小企業 (SME)、大学機関、研究機関、大企業によって利用されています。国際特許出願を1式提出するだけで多数の国において法的効果を発生させることができるこの制度を活用することで、PCT加盟国158か国で特許保護の取得を目指すことができます。PCT制度では、従来の特許制度が改善され、イノベーターには意思決定のための時間的猶予と発明の特許性に関する情報が従来より多く提供されます。2023年にはおよそ27万2,600件のPCT出願が提出されました。
PCT制度ではまた、発明の特許性に関する質の高い情報が加盟国の国内官庁に対して提供され、各官庁における特許付与決定の審査で役立ちます。WIPOが行うPCT出願の国際公開では全てのPCT出願が開示されることで公衆の利益につながります (WIPOのPATENTSCOPEデータベースで毎週約5,000件を公開)。
WIPOについて
世界知的所有権機関 (WIPO) は、世界中のイノベーターやクリエイターにサービスを提供し、アイデアの確実な市場投入を通じてあらゆる場所における生活の向上実現を支援する国連機関です。
WIPOは、知的財産 (IP) の国境を越えた保護と展開を目指すクリエイターやイノベーターまた起業家たちを支援するサービスを提供し、また知的財産に関する最先端の課題解決に取り組むためのフォーラムとして機能します。WIPOが発表する知的財産データと情報は世界中の意思決定者により参照されます。またそのインパクト重視のプロジェクトや技術支援を通じて、あらゆる場所のすべての人が知的財産の利益を受けられるように支援します。
詳しくはWIPO Media Relations Sectionにお問い合わせください。- 電話: (+41 22) 338 81 61 / 338 72 24
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