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知的財産に関しての考察:フランシス・ガリWIPO事務局長へのインタビュー

2020年9月

フランシス・ガリ事務局長は過去12年間、WIPOを指
揮してきました。(写真:WIPO/E. Berrod)

フランシス・ガリ事務局長が、世界知的所有権機関(WIPO)で指揮をとった過去12年間の経験を振り返り、国際知的財産コミュニティが直面しているいくつかの主要な課題について解説します。

WIPO在任中の職務上のハイライトについて教えてください。

WIPOでは現在、多くの優れた専門家が、縦割りのレポートラインを越えて協力することで、最高水準の新しいアイデアやプロジェクトが開発、実践されているということです。今では、同僚との協力は不可欠だと思います。協力的な取り組みが見られるのは素晴らしいことです。

事務局長としての最大の功績は何ですか?

それは皆さんが判断することだと思います。しかし、個人的にはマラケシュ条約Accessible Books Consortium (ABC)が特に印象に残っています(ボックスを参照)。これらの取り組みは特定のニーズに適切に対処し、全加盟国と関連するステークホルダーの善意を象徴しています。私の同僚たちが、80以上の言語で635,000を超える作品のレパートリーを提供するABC Global Book Serviceの構築にあたり素晴らしい仕事をしてくれました。また、ABCがマラケシュ条約の加盟国によって確立された法的枠組みを運用するための重要な手段の1つとなりました。素晴らしい取り組みです。

マラケシュ条約について

盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約」は、世界的な「本の飢饉」に対処しています。締約国は、盲人、視覚障害者、その他の印刷物の判読に障害のある方にサービスを提供する組織、いわゆる認可された団体による、点字、電子テキスト、音声、大活字などのアクセシブルな形式の本の制作を許可する国内法の規定を採用する必要があります。また、著作権者に許可を求めることなく、国境を越えてこのようなアクセス可能な文書を交換することを可能にします。

世界保健機関は、世界中で2億5300万人が視覚障害を抱えて生活しており、その90%以上が低所得国に住んでいると推定しています。

この条約は、2013年6月27日、WIPOが運営し、モロッコ王国がマラケシュで主催した外交会議で採択されました。条約は、WIPO加盟国による必要な20か国の批准または加盟を獲得した後、3か月後の2016年9月30日に発効しました。条約の加盟国は、2016年の発効以来急速に拡大しています。執筆時点で、条約には97か国を含む70の締約国が参加しています。

何がこの取り組みを成功に導いたと思いますか?

第一に、マラケシュ条約とABCは特定の問題を対処するものであるため、その影響を測定しやすく、提案されたソリューションに対する安心感を高めることができます。

2013年6月、モロッコ、マラケシュにて盲人、視覚障害者その他の印刷物の判読に障害のある者が発行された著作物を利用する機会を促進するためのマラケシュ条約を採択。(写真:WIPO/E. Berrod)

第二に、マラケシュ条約とABCは真に国際的な問題に取り組んでいることです。マラケシュ条約のおかげで、特定の言語でアクセス可能な出版物を1つだけ作成するだけで、ABC Global Book Serviceを通じて利用できるようになったので、異なる国のために同じ言語の出版物を複数のアクセス可能な形式で作成する必要がなくなりました。これは、国際的なニーズに対応する国際的なソリューションの完璧な例です。

そして第三に、動機に議論の余地がありません。知識の伝達の基礎となる出版物に視覚障害者が平等にアクセスできるようにすることに、誰も反論しないでしょう。

3つの条件すべてがこのように合致することは滅多にありません。

Accessible Books Consortiumについて

WIPOとその加盟国は、マラケシュ条約の方針を実践的なレベルで実施するのを支援するために、2014年にAccessible Books Consortium(ABC)を設立しました。世界盲人連合の推定によると、アクセス可能な形式で制作されている作品は、出版されている全作品の10パーセント未満でした。世界的に利用可能なアクセス可能な作品の総数を増やすために、ABCは次の3つの分野で活動しています。

能力開発(キャパシティ・ビルディング) – 過去5年間に、17の発展途上国または後発開発途上国でABCが提供した資金、トレーニング、技術支援を通じて、各言語で12,800冊を超える教育関連の書籍がアクセス可能な形式で制作されました。

アクセス可能な出版 – ABCは、出版社による「製作時からアクセス可能な」作品、つまり、目の見える人と視覚障害者の両方が最初から使用できる本の制作を促進しています。世界中の出版社と出版社協会には、ABC Charter for Accessible Publishingに署名するよう推奨しています。この憲章には、アクセス可能な形式のデジタル出版物に関連する8つの高レベルの願望的原則が含まれています。世界最大の出版社の1つであるHachette Livreは、ABC Charterの100番目の署名者になりました。

ABC Global Book Service – 世界中の視覚障害者のための図書館が所蔵の作品を共有し、ABCを通じて入手したアクセス可能な書籍を利用者に配布できるようにした、アクセス可能な形式の世界的な図書カタログです。ABC Global Book Serviceは現在、印刷物の判読に障害がある人々のために、80以上の言語で635,000冊を超えるアクセス可能な書籍を国境を越えて交換できるようにしています。世界中から70件以上の視覚障害者のための図書館がこのサービスに参加しています。

他に目立つ動きはありますか?

はい、あります。知的財産は非常に深刻な問題であり、高度な政策上の注意が必要であるということは、微妙な違いはあるものの、世界中で広く受け入れられています。当然のことながら、アプローチに関しては意見の相違は避けられませんが、知的財産が重要であることに誰もが同意する段階に達しています。たとえば、今日、多くの開発途上国は、必要に迫られているからではなく、知的財産から何を得ることができるか、そして知的財産を使用して独自の開発目標を実現する方法を知りたいがために、知的財産を進んで活用しています。これは素晴らしいことです。

それでは、最大の課題は何でしたか?

2013年6月、WIPO事務局長のフランシス・ガリ氏と
伝説的な音楽家であるスティービー・ワンダー氏が
歴史的なマラケシュ条約の締結を祝いました。
(写真: WIPO/E. Berrod)

最大の政策課題は、本質的に問題が地球規模のものである場合でも、解決策を見出す意思決定者の既定の政策的対応が、現在のところ、国際協力ではないという事実です。これは広範囲にわたる現象であり、多くの理由が考えられます。こうした現象が発生している理由を理解するには、詳細な分析が必要になります。

たとえば、グローバル化は、新しい政策課題を生み出した重要な要素です。テクノロジーは世界的な競争を煽り、特定の地域の急速な発展の結果として、多極化を促しています。必然的な結果として、この状況により、競争上の地位に影響を与え得る国際的な解決策をとることに対して、皆、ある程度慎重になってしまっています。WIPOでは、こうしたことが特に規範的なプログラムで起きていると考えており、これにより、新しい規則についての国際的な合意を得ることが非常に困難になっています。

したがって、大きな課題は、どのようにして意思決定者たちが、明らかに国際的な問題であるものに対する国際的な解決策を模索する際に、国際的な解決策を習慣的に考えられるよう教育するかです。これに連動しているのが、この世界の分断化の可能性であり、これも大きな課題です。それが世界的な接続性の技術としてのインターネットの機能や貿易に影響を与えるかどうかにかかわらず、分断化は多くの否定的な影響を及ぼします。

運用レベルでの成功についてはいかがですか?

運用レベルでは、加盟国やその他のステークホルダーが使用するWIPO サービスとプラットフォームを提供する際に、情報技術の力を利用して、接続性を高めることができました。そして、これは大きな利点となりました。

事務局長としての経験からどのような教訓を得ましたか?

特に、2つの教訓を得ました。一つ目は、他人の経験から学ぶことを可能にする開放性の価値についてです。開放性には、個人的な利益を超越した、大きな組織的価値および戦略的価値があります。開かれていたからこそ成功した社会や経済の歴史的な例は数多くあります。例えば、9世紀から10世紀にわたるアラブのカリフ制や、最初の正式な特許法が生まれたヴェネツィア共和国があります。最近の例としては、シリコンバレーが挙げられます。世界知的財産報告書2019の調査結果が示すように、シリコンバレーは世界中から才能ある人材を積極的に誘致しており、これが成功の重要な要素となっています。

WIPOのような組織にとって、本当の課題は、与えられた目的に合ったタイムリーな対応を開発することです。

二つ目の教訓は、コラボレーションの価値です。WIPOでは、組織のさまざまな部門によるコラボレーションだけでなく、さまざまな加盟国や他のステークホルダーによるものもあります。私たちが立ち上げたイニシアチブの多くは、コラボレーションによって大幅に改善されました。

今後、政策立案者が直面する最大の課題は何だと思いますか?

テクノロジーの変化のスピードは、あらゆる場所で誰もが日々取り組んでいる大きな課題です。今日存在する組織は、そのようなスピードに対応するために作られていません。たとえば、議会は新技術に先立って「規制」や政策の枠組みを策定しません。新技術とその影響が不明であるため、通常は事後に立法化されます。私たちは皆、このような状況に置かれています。私たちが過去70年間精通してきた国際的な制度に関しても、国際協力への信頼を再燃させるためにその制度自体を変革する必要があります。これもまた、大きな課題です。

WIPOのような組織にとって、本当の課題は、与えられた目的に合ったタイムリーな対応を展開することです。この課題は、国際社会が関与するプロセスであるため、物事がより迅速に進む国内レベルの問題よりもはるかに困難です。

WIPOで既にある程度実践していることですが、解決策の1つとして考えられることは、国際社会が国内レベルで何がうまくいくのかを確認し、20年くらい経ってから、国際的なルールを作ることかもしれません。しかし、私たちが直面している問題の国際的な性質により、国際的解決策がより早く必要とされる場合があります。そのためには、これまでと異なるアプローチが必要になるかもしれませんが、目的にそぐわない解決策を打ち出さないために、慎重さと注意深さに裏打ちされたアプローチが必要となるでしょう。

「技術変化のスピードは誰にとっても大きな課題です」とフランシス・ガリ氏は述べています。「WIPOのような組織にとって、本当の課題は、与えられた目的に合ったタイムリーな対応を開発することです。」(写真:WIPO)

現在の課題に関して、知的財産は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の時代において重要な役割を果たしていますか?

知的財産は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19に対処する上で技術的に非常に重要な役割を担っています。知的財産は、イノベーションを起こすため、そして私たちが今必要としている効果的なワクチンと治療法に対する適切なインセンティブを生み出すために存在しています。アクセス、公平性、公正の問題はすべて合理的かつ基本的なものですが、私たちが利用できるものができるまでは、それらは発生しません。

知的財産に依存するセクターはパンデミックでどのような影響を受けましたか?

知的財産に依存する特定の経済セグメントは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19と、それを封じ込めるために実施されている強制的な政策措置に悩まされています。クリエイティブ産業は特に苦しんでいます。たとえば、自宅待機をしていると、ミュージシャンはライブで演奏できず、主な収入源を失います。あらゆる種類の多くの作家やクリエイター、そして、クリエイティブ産業で働く何千人もの人々が壊滅的な状況にあります。引き起こされた経済的苦痛を超えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19が私たちの文化に与えている弊害についても考える必要があります。

知的財産は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対処する上で技術的に非常に重要な役割を担っています。知的財産は、イノベーションを起こすため、そして私たちが今必要としている効果的なワクチンと治療法に対する適切なインセンティブを生み出すために存在しています。」

スタートアップ企業は新型コロナウイルス感染症(COVID-19のもう一つの犠牲者です。最近公開された「グローバル・イノベーション・インデックス2020誰がイノベーションに融資するのか」で解説されているように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19によって引き起こされた経済の不確実性と不況により、新しいアイデアと知的財産に基づいて構築された非常に豊かな起業家の層と彼らが依存する資金源に動揺が広がっています。

人工知能(AI)主導のイノベーションの新時代の幕開けにあたり、知的財産担当の政策立案者たちは他にどのような問題に直面するでしょうか?

フランシス・ガリ氏は、人工知能(AI)主導のイノベーションの新時代の到来にあたり、政策立案者は「知的財産の枠組みにとって根本的に重要な多くの質問に直面するだろう」と述べています。 (写真:GettyImages / ipopba)

彼らは、発明と創造に対処するために開発された知的財産の枠組みにとって根本的に重要な多くの問題に直面するでしょう。そのような問題には、一方では機械の発明と創造、他方では人間の発明と創造の二項対立が含まれますが、これは誤りかもしれません。知的財産は、人間の発明と創造を念頭に置いて作られました。機械の発明と創造が行われる範囲において、そして、これは調査すべき問題ですが、知的財産制度はどのような影響を及ぼし、どのように対応する必要があるでしょうか?

たとえば、創作の場合、著作権法では著作者が人間であることが求められている、というのが簡単な技術的な答えです。しかし、それは本当に究極の答えでしょうか?アルゴリズムが市場にとって興味深く魅力的なオリジナルの作品を作ることができる場合、それを管理するためにどのような規制の枠組みが必要になるでしょうか?どのようなインセンティブを作ることを望みますか?無料の複製を許可しますか?これまでに存在した知的財産関連の問題がすべて発生するでしょう。

人工知能(AI主導の発明と創造がどのように創造的な作品を歪め、既存のパフォーマンスから新しい作品を作ることができるかという問題、そしてディープフェイク問題全体に関する問題もあります。

“従来の制度が設計されたときには存在しなかった新しいテクノロジーに対処するために、新たなレイヤーの可能性に焦点をあてた(知的財産制度の)進化があると思います。

もう1つの問題は、著作権で保護されたデータを使用した新しい作品の作成に関するものです。研究が人間の世界では完全に合法であることに誰もが同意しています。それを合法化するために規則が開発されました。しかし、それを「研究中」の機械にどのように適用できるでしょうか。昨年、WIPOは、この問題およびその他の関連問題を調査するために、加盟国と人工知能(AIおよび知的財産に関する対話を開始しました。

これらの問題に取り組む上で、政策立案者にメッセージはありますか?

まず、著作権で保護されたデータが、新しいクリエイティブなコンテンツを生成するためのアルゴリズムに読み込まれるために利用され得るかどうかなど、具体的な問題に対処してください。人工知能(AIに関する一般的な法制度を作ろうとしても、テクノロジーの開発が速すぎて、すべてを網羅することは不可能だからです。問題と提案された解決策が具体的であればあるほど、立法化の影響を測定し、解決策について合意が容易になります。

第二に、問題への対処は複数のステークホルダーによるプロセスでなければなりません。今日、多くの場合、専門知識、熟知、開発は、非政府の民間部門で発生しています。これら専門知識は、政策立案者が複雑な問題を理解するのをサポートするために、プロセスに組み込まれる必要があります。

そして第三に、政策立案者には自分たちが知らないことを知るための謙虚さが必要です。

今後、知的財産制度はどのように進化していくと思いますか?

産業技術向けに設計された従来の知的財産制度は、デジタル時代には適していないという意見もありますが、統計によるとそうではありません。従来の知的財産制度はかつてないほど普及しており、世界経済をはるかに上回るペースで拡大を続けています。しかし、従来の制度にはギャップがあります。例として、人工知能(AI、より上位概念としてデジタルテクノロジーを挙げてみましょう。従来の制度が設計されたときには存在しなかった新しいテクノロジーに対処するために、新たなレイヤーの可能性に焦点をあてた進化があると思います。

イノベーションの展望についてはいかがですか?

近年、イノベーションと創造性が非常に重視されています。いくつかの点において、単に新しいという理由だけで、新規性のあるものに価値が置かれることにつながりました。将来的には、社会の最大のニーズとして認識されているものに具体的に取り組むために、イノベーターやクリエイターが「責任あるイノベーション」を追求する必要があるという兆候がすでに見られます。

しかし、その創造的なエネルギーをどのように導くかというのは、難しい質問です。イノベーションと創造性がタスク指向であることを求めると、ある意味で未来を現在に閉じ込めることになるからです。これは大きなジレンマです。すべてのものと同様に、答えはおそらく、創造する自由とその自由を行使することに伴う責任とのバランスを確立することにあります。

世界の豊富な発明家やクリエイターのうち、最も大きなインスピレーションを得た人はいますか?

私はすべての発明家とクリエイターにインスピレーションを受けています。彼らは私たちの世界と未来を作り、再生します。それを見るのは素晴らしいことです。

今後の予定について教えてください。

教鞭を執ったり、コンサルタントをしたり、執筆活動をしたりする予定でいます。


ガリ氏は2008年10月1日からWIPO事務局長を務めてきました。後任には、2020年5月にWIPO加盟国によりWIPO次期事務局長に任命されたシンガポールのダレン・タン氏が就任します。タン氏の6年の任期は2020年10月1日から開始します(ボックスを参照)。

タン氏へ渡されるバトン

(写真:WIPO/E. Berrod)

2020年5月初旬、WIPO加盟国の合意により、ダレン・タン氏がWIPOの次期事務局長に任命されました。タン氏の6年間の任期は2020年10月1日から開始します。2020年3月のWIPO調整委員会によるタン氏の指名に続き、WIPOの最高意思決定機関である総会にてタン氏が任命されました。

タン氏は、2008年10月1日からWIPO事務局長を務めてきたフランシス・ガリ氏の後任となります。

「WIPO加盟国と職員、そして国際的な知的財産コミュニティの多くのステークホルダーと協力して、バランスの取れた、包括的で活気のある未来の知的財産エコシステムを構築することを楽しみにしています。」とタン氏は就任演説で述べました。

タン氏は、オーストラリアのガリ氏(2008-2020)、スーダンのカミル・イドリス氏(1997-2008)、米国のアルパド・ボグシュ氏(1973-1997)、オランダのへオルフ・ボーデンハウゼン氏(1970-1973)に続き、WIPOの5番目の事務局長になります。

WIPO Magazineは知的財産権およびWIPOの活動への一般の理解を広めることを意図しているもので、WIPOの公的文書ではありません。本書で用いられている表記および記述は、国・領土・地域もしくは当局の法的地位、または国・地域の境界に関してWIPOの見解を示すものではありません。本書は、WIPO加盟国またはWIPO事務局の見解を反映するものではありません。特定の企業またはメーカーの製品に関する記述は、記述されていない類似企業または製品に優先して、WIPOがそれらを推奨していることを意図するものではありません。