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CDK:ブータンで持続可能なファッションを推進

2021年3月

Catherine JewellElla Marie Thomson、WIPO 情報・デジタルアウトリーチ部

CDKは、ブータンの伝統的なデザインに現代的な要素を加えた、新しい持続可能なファッションブランドとして注目されています。手織りの生地にブータンの繊維やモチーフをあしらった現代的な型を使った衣服を作っています。ブータンの女性織工を積極的に雇って女性のエンパワメントを支援しているほか、ブータンの織物文化の普及に努めています。

CDKは、ブータンの伝統的なデザインに現代的な解釈を加えた、新しい持続可能なファッションブランドとして注目されています。(写真:CDK提供)

CDKのオーナー、Chandrika Tamang氏はまだ学生だった頃に副業として衣服のデザインを始めました。その当時は、デザインが生活の一部になるとも、趣味が仕事になるとも思っていませんでした。

Tamang氏は、「この事業を始める前は銀行で働いていました。学業を終えてから、安定した仕事がしたいと思って銀行に就職しましたが、暇さえあれば、服を切り裂いては、それをまた縫い合わせていました。デザインこそ天職だと気づくのに約6年かかりました。」と述べています。

地球への影響を減らすだけではもはや不十分です。私たちの目的は、意識的な行動を通じて環境やコミュニティをよりよい状態にすることです。

CDK創業者のChandrika Tamang氏

Tamang氏はインドで服飾と仕立ての基礎を学んだ後、自宅を拠点として衣服のデザインと製作を始めました。「インターネットでデザインについて何時間も勉強しました。そのうち、ブータンのファッション業界の穴を埋めて、雇用を創出し、ブータンの繊維の普及や保存に役立てるのではないかと思いました。直感を信じて、デザイン専門の職に従事することを決めました。そして2016年にCDKを立ち上げました。」

以来、Tamang氏は様々な賞を受賞してきました。2017年には、ブータンの経済省 小規模産業局(DCSI)から女性起業家賞を授与されました。また、国際的なファッションショーや政策フォーラムにもブータン代表として参加しています。

持続可能性を優先

CDKは、倫理的なファッションブランドで、女性のエンパワメントや持続可能な目標達成を目指すことを優先事項として取り組んでいます。「私なりに小さな変化を起こしていきたいです。また、自分のルーツを忘れないようにするということも重要です。様々な職人と仕事をして、地元の製品に価値を与えることが原動力です」とTamang氏は言います。

CDKは自宅で作業する織物職人のエンパワメントに取り組むことを通じて織物の文化を保存、普及し、かつ可能な限り廃棄物を減らすことで、持続可能性の向上に取組んでいます。(写真:CDK提供)

CDKでは同社のモットーである、「量より質」に基づき、倫理的に調達した、高品質で生物分解可能な原料や天然の染料を使っています。また、端切れからアクセサリーや装飾品を作るなど廃棄物を最小限に抑える取組みを行っています。同社は繊維メーカーとして、事業が人や地球に与える影響についてよく認識しています。

Tamang氏は「私の夢は、少なくともブータンでは、ファッション業界が環境に配慮することです。CDKブランドの発展に伴って、綿など、ブータン産の認証されたオーガニックの原材料を使う計画です。」と述べています。

総合的な事業アプローチ

CDKの事業の中核には持続可能性があり、同社は製
品のライフサイクル管理や開発する製品、使う原材料、
地元の職人との仕事の仕方に至るまで、事業を運営す
る上で多面的で総合的なアプローチを取っています。
(写真:CDK提供)

CDKは、コミュニティを事業の中心に据えています。同社は協業こそが最善の道だと確信し、顧客やサプライヤー、作り手と緊密に連携しています。

Tamang氏は「私たちは、共に働くコミュニティや職人、織物職人、裁縫師のことをとても大事に思っています。また、ずっと大切に使ってもらえるような、長持ちして環境負荷が少ない製品を作るとともに、製品を作る際には人も動物も傷つけないことを意識しています。」と述べています。

私たちは、共に働くコミュニティや職人、織物職人、裁縫師のことをとても大事に思っています。また、ずっと大切に使ってもらえるような、長持ちして環境負荷が少ない製品を作るとともに、製品を作る際には人も動物も傷つけないことを意識しています。

CDK創業者のChandrika Tamang氏

CDKは単に二酸化炭素排出量を削減するだけでは飽き足らず、サステナビリティへの取り組みをさらに強化しています。

Tamang氏は、「地球への影響を減らすだけではもはや不十分です。私たちの目的は、意識的な行動を通じて環境やコミュニティをよりよい状態にすることです。」と説明します。

「当社は自分たちの影響を追跡するためのロードマップをつくりました。コミュニティを豊かにし、教育し、協業していくことや、使う原材料を大切にして廃棄物を最小限に抑えることを目的にしています。必要な量の生地だけ織ることで、廃棄物ゼロのデザインコンセプトに取組んでいます。手で紡ぎ、手織りで手縫いの製品を作ることで、電力の使用量を減らせますし、それぞれの職人が独自の個性と愛情を加えることが可能です。」とTamang氏は述べています。

CDKは2022年から2年毎に社会意識報告書を公表する予定です。報告書では、持続可能な行動に関する進捗状況について詳細に報告します。

ブランド認知を構築

今や、CDKはブータンでは高品質のファッションブラ
ンドとして知られており、海外進出も視野に入れてい
ます。(写真:CDK提供)

CDKはブランド認知や顧客の信頼、ロイヤリティを構築する重要性を認識し、2018年に最初の商標を登録しました。2019年にはブータンの特許庁から、商標に関する表彰である「国家商標賞(Annual National Trademark Award)」を授与されました。

Tamang氏は、「商標を使って、ソーシャルメディアなどを通じて当社のブランド製品を宣伝しています。当社のブランドは、顧客やブータンのビジネス界から、高品質なデザインの証として認識されています。最近、国王と王妃に謁見したことで、当社の評価はさらに高まりました」と述べています。

CDKは現在、新たにブータン発の「slow」という高級衣料品ブランドを立ち上げる計画です。この新しいブランドは、量より質という理念を反映して、高価値・低分量を追求しています。これは、自宅で作業する織物職人のエンパワメントに取り組むことを通じて織物の文化を保存、普及し、かつ可能な限り廃棄物を減らすという同社の持続可能性向上の目標にも完全に一致しています。

私の夢は、少なくともブータンでは、ファッション業界が環境に配慮することです

CDK創業者のChandrika Tamang氏

模倣品が足を引っ張る

CDKは商業的には成功していますが、オリジナルのデザインを侵害されるといった問題にも直面しました。 

「ブータンのビジネス界は知的財産に馴染みがなく、繊維業界で知的財産侵害が多数起きています。パンデミックの際に手織りの生糸のテゴという民族衣装を当社のオリジナルデザインで作ったのですが、今やその模倣品が至る所で売られています。模倣品は、デザイナーらが新しいアイディアを生み出す意欲を失わせるもので、本当に残念です。また、まだ新しい事業で規模も小さいと、全ての製品の知的財産権を登録するのも高くつきます。」とTamang氏は明かします。

他の小さな企業と同様、CDKもパンデミックの煽りを受け、従業員の削減を余儀なくされました。同社は現在、正社員4人と自宅で作業をする織物職人を8人雇用していますが、パンデミック以前は正社員11人と自宅で作業をする織物職人を40人以上雇用していました。このような状況にもめげず、CDKは製品を国際的に売り出し、自宅で作業する仕立職人を増やす計画です。

CDKでは同社のモットーである、「量より質」に基づき、倫理的に調達し高品質で生物分解可能な原料や天然の染料を使っています。(写真:CDK提供)

CDKは、Tamang氏らの熱心な働きにより、ブータンで人気を集めています。CDKの革新的なデザインコンセプトや先進的な知的財産戦略、総合的なアプローチによって、同社はブータンでも有数の勢いある中小企業となっています。

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