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ブランディングの新時代の到来を告げるデジタルインフルエンサー

2021年12月

著者: Natalie Humsi氏、WIPOアカデミー

新たなインフルエンサーがソーシャルメディア (SNS) を席巻し、最先端の容姿で若い世代を魅了しています。バーチャルヒューマンと呼ばれるデジタルインフルエンサーが、ソーシャルメディア・マーケティングの世界に新たに加わりました。

imma (上) はアジア初のバーチャルヒューマンで、現在は自身のバーチャルファッションブランドを手がけています。 (写真: 株式会社Aww提供)

2018年、岸本浩一氏と守屋貴行氏はチームを組んで、クリエイティブをベースとした新しい形態の知的財産 (IP) を生み出しました。ピンク色の髪をしたimmaと呼ばれる仮想の少女は、アジア初のバーチャルヒューマンです。彼女の名前はいみじくも日本語の「今」に触発されたものです。immaは熱狂的な支持を集め、Instagramでは35万人、TikTokでは25万人を超えるフォロワーがいます。

「Aww」という感情を引き起こす

immaの成功をきっかけに、岸本浩一氏と守屋貴行氏は日本初のバーチャルヒューマン企業、株式会社Awwを2019年に設立しました。同社はアジア市場を視野に入れ、「人々の想像力」を刺激し、「Aww」と感じてもらうことを目指しています。「当社のストラテジスト、ライター、デザイナーは、行動を変える仕組みを明らかにし、構築し、活性化し、明日のブランドに力を与えます」と同社のウェブサイトに記載されています。

岸本浩一氏はコンピューターグラフィックス (CG) の専門家で、映画やビデオゲームのCGと視覚効果の開発を手がけるアニメーション・スタジオ、Modeling Cafeも所有しています。岸本氏の長年にわたる人間の容貌と顔認識の研究が、株式会社Awwのプロデュースするバーチャルヒューマンの開発の中核となっています。

守屋貴行氏は、大学で経営とマーケティングを専攻した後、プロデューサーとしてテレビコマーシャルやミュージックビデオなどの制作を手がけました。現在は、株式会社AwwでXR (エクステンデッド・リアリティ) とバーチャルファッション分野におけるビジネス展開とパートナーシップ構築に重点的に取り組んでいます。

バーチャルヒューマンの市場は急成長しており、様々な企業が独自のバーチャルヒューマンを開発したり、既存のキャラクターをバーチャルヒューマンに切り替えたりしています。

株式会社Awwの共同設立者、守屋貴行氏

不気味の谷を越えて

人型ロボットとその派生物は人間にとって不快な感情を引き起こす傾向があり、この現象は「不気味の谷」と呼ばれています。バーチャルヒューマンと呼ばれるデジタルインフルエンサーは、デザインとバーチャルな容姿が次第に改良され、ますますリアルになっているため、見る人の多くにとってこの障壁は取り除かれています。ただし、特殊効果や高品質のCGを使ったアニメーションを見て育った若い世代は、バーチャルヒューマンに対するハードルが低く、親しみを感じやすくなっています。

「私は人工知能、仮想現実、その他の様々なプラットフォーム・ビジネスについて調査し、開発してきましたが、ブロックチェーンによって構築されるコミュニティ文化の形成にも力を入れてきました。これは私たちの未来に影響を与えるでしょう。このコミュニティ文化では、バーチャルヒューマンとそれに関連する知的財産が非常に重要になります」と守屋氏は指摘します。

「既存の概念に基づいて市場やプラットフォームを構築するのではなく、最も素晴らしいバーチャルヒューマンと知的財産を生み出すことを大切にしています。知的財産があれば、様々な市場、プラットフォーム、コミュニティにアクセスすることができます。これが、この分野における知的財産の真の力だと思います」とも述べています。

バーチャルヒューマンは、アクセスの容易さとクリエイティブな表現に加え、ブランドのニーズに合わせて調整できることから、世界の一流ブランドの間でも人気があります。

株式会社Awwは、複数の有名企業と提携しています。例えば、immaは現在、レノボ社のノートパソコン「Yoga」シリーズのブランド・ムービーに起用されています。このムービーの中で「若者世代の多様性」を象徴するimmaは、変化を目にし、変化を可能性として再認識したいと思っています。

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響で、多くのマーケティング代理店が物理的制約を受け続けており、それに対するクリエイティブなソリューションとして、バーチャルヒューマンに対する需要が急拡大しています。

「バーチャルヒューマンの市場は急成長しており、様々な企業が独自のバーチャルヒューマンを開発したり、既存のキャラクターをバーチャルヒューマンに切り替えたりしています」と守屋氏は説明します。

当社は現在、開発した技術をパートナーに提供しており、当社の強みを可視化するために商標権の取得が必要でした。

株式会社Awwの共同設立者、守屋貴行氏

戦略的選択

株式会社Awwはブランド・パートナーシップの構築にあたって対象を厳選し、同社のバーチャルヒューマンのパーソナリティに合ったコンテンツになるよう注意を払っています。同社のバーチャルヒューマンは、imma、彼女の弟のZinn、ファッションデザイナーのAsu、ファッションおよびビューティーインフルエンサーのRia、ディズニーのプリンセスから着想を得たバーチャルキャラクターのEllaです。

デジタルインフルエンサーの人気が上昇している状況を踏まえ、同社は同社のバーチャルヒューマンについて「MASTER MODEL®」の商標を日本の特許庁に登録することで、知的財産資産を保護することにしました。商標を登録して自社のバーチャルヒューマンを保護するという決定は、バーチャルヒューマンに対する需要の高まりに対応するための重要なビジネス戦略でした。

「当社は現在、開発した技術をパートナーに提供しており、当社の強みを可視化するために商標権の取得が必要でした」と守屋氏は説明しています。

ファッションの未来

バーチャルヒューマンのブランド・パートナーシップとAsuの衣料ブランドに対するファッション業界での評判を足がかりに、株式会社Awwはバーチャルファッション分野の開拓も始めました。同社はバーチャルファッションを、実際のファッション・サイクルに代わるサステナブルなサイクルと考えています。バーチャルファッションは、バーチャルヒューマンのデジタル環境を利用しやすく、バーチャルリアリティを通じてゲームや「デジタル試着方式」を取り入れています。株式会社Awwは近々immaのバーチャルファッションブランドの立ち上げも計画しています。このブランドはゲーム内スキンと非代替性トークン (NFT) のみで利用できる予定です。

知的財産が株式会社Awwなどの企業を支援する詳しい方法について、興味をお持ちですか。

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