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ブロックチェーンを活用して「スマートな裁判」の発展を推進する中国

2022年9月

著者: XU Jianfeng、中国最高人民法院情報技術サービスセンター長

2022年5月、中国最高人民法院は「司法分野におけるブロックチェーンの適用強化に関する最高人民法院の見解」 (以下、「見解」) を発表しました。これは、デジタル・トランスフォーメーションのさらなる加速、デジタル司法の水準向上、スマートな法治の発展推進のために、人民法院がブロックチェーンに代表される主要技術の適用を推進するための重要な第一歩です。ブロックチェーンは分散型台帳技術の一種で、改ざんを防ぐ仕組みが備わっています。ブロックチェーンでは、デジタル記録およびデジタル取引は記録され、分散されますが、いかなる方法でも変更が加えられないようになっています。

2022年5月に中国最高人民法院が発表した「見解」によると、司法分野におけるブロックチェーン適用の全体的な目標は、人民法院と社会のあらゆるセクターとの情報共有を推進する、相互接続された「ブロックチェーン同盟」を2025年までに構築することです。(写真:  GuerrillaBuzz Crypto PR / Unsplash)

法的手続のブロックチェーンへの統合深化

中国はブロックチェーン技術の適用と開発を非常に重視しています。習近平国家主席は、ブロックチェーン技術の開発と産業革新を加速すること、および経済・社会の発展のためにブロックチェーン技術の統合を積極的に推進することの必要性を強調しています。中国には、ブロックチェーン技術を開発し、それを司法分野に適用するための優れた基盤があります。実際、司法分野でブロックチェーン技術が果たす補助的な役割は徐々に進化しています。

ブロックチェーン技術を利用することで、最高人民法院は、全国的な統一司法ブロックチェーン・プラットフォームを中心とした、高水準のスマートな裁判制度を構築しています。このプラットフォームは、ブロックチェーン技術を利用して、電子証拠、電子保存文書、執行の調査・管理に関する情報、告訴・上訴情報、業務記録などのデータを処理します。このプラットフォームは中国の国民とあらゆるレベルの裁判所に対し、司法データの保存と検証を行う中央集権型システムへのアクセスを提供します。すべての地方人民法院で、ブロックチェーン技術の適用を積極的に検討する取り組みが続いています。包括的な調査と広範な協議・議論を経て、最高人民法院は、司法分野におけるブロックチェーン適用をさらに強化し、司法実務において同技術の役割を活用するために、「見解」を作成・発表しました。

最高人民法院の統一された司法ブロックチェーン・プラットフォームは、中国の国民とあらゆるレベルの裁判所に対し、司法データの保存と検証を行う中央集権型システムへのアクセスを提供します。写真:  中国最高人民法院提供

中国の特徴を備えた、世界トップレベルの高度なブロックチェーン・モデルの促進

「見解」は7つのパート、32項目からなり、人民法院が司法分野におけるブロックチェーンの適用を強化するための全体的な要件を明確にしています。また、ブロックチェーンの適用と関連プラットフォームの構築のための要件と手段を説明しています。さらに、司法の信頼性と効率性の向上、司法連携の強化、経済・社会のガバナンスの推進など、ブロックチェーン技術を適用する典型的なシナリオを提示しています。

司法分野におけるブロックチェーンの適用: 一般要件

「見解」は、司法分野におけるブロックチェーン適用の一般的な要件を明確にするにあたり、ブロックチェーン適用の全体的な目標は、人民法院と社会のあらゆるセクターとの情報共有を推進する、相互接続された「ブロックチェーン同盟」を構築することだと述べています。そうした同盟を2025年までに設立することを目指しています。

その過程で、ブロックチェーン技術はさまざまな紛争解決、訴訟業務、公判・執行プロセス、司法行政に包括的に適用される予定です。さらに、相互運用可能な司法ブロックチェーン同盟は、中国の経済社会制度に不可欠な要素となり、中国の状況に即した、世界をリードする高度な司法ブロックチェーン・モデルの構築を推進するでしょう。

「ブロックチェーン同盟」の基本原則

「見解」は、ブロックチェーン同盟を構築するための4つの基本原則を明らかにしています。

  1. 法に基づく協力を推進し、連携と相互接続性を重視すること
  2. 開放性を支持し、各種標準を共有し優先させること
  3.  適用を明確にし、イノベーションに基づく開発を尊重すること
  4. 安全性と信頼性を確保し、秩序ある進展を重視すること

ブロックチェーン・プラットフォーム構築の要件

「見解」は、ブロックチェーン・プラットフォームの構築にあたって、人民法院に以下が求められることを明記しています。

  1. ブロックチェーン適用の最高水準の設計を強化すること
  2. 継続的に能力強化を図り、技術の相互運用性を促進してさらなる連携を実現すること
  3. 司法ブロックチェーンの技術力を向上させること
  4. iv) インターネットを利用した司法ブロックチェーンの検証プラットフォームを構築すること
  5. 標準システムを構築し、最適化すること

「見解」は、人民法院間で共有される開かれた司法ブロックチェーン・プラットフォームを設立すること、また、継続的にシナジー効果を高めるために、司法ブロックチェーン・プラットフォームと社会のあらゆるセクターとの相互運用可能な同盟の構築を推進することを提唱しています。「見解」によると、司法ブロックチェーン検証プラットフォームの構築により、全当事者が調停、電子証拠、訴訟文書、その他の司法データの真正性を検証できるようになります。

最高人民法院は、全国的な統一司法ブロックチェーン・プラットフォームを中心とした、高水準のスマートな裁判制度を構築しています。

司法分野におけるブロックチェーンの適用: 一般的なシナリオ

「見解」は、司法分野におけるブロックチェーン技術の利用拡大を念頭に、同技術の適用に関する一般的な4つのシナリオを提示しています。

まず、改ざんされないデータを生成するブロックチェーン技術の能力を生かし、司法データのセキュリティに対する技術的保証、電子証拠の信頼性、執行プロセスの順守、司法文書の信頼性を提供することによって、司法の信頼性を高めることを提唱しています。

第2に、ブロックチェーン技術の以下の能力を踏まえ、ブロックチェーンの適用によりビジネス・プロセスを最適化し、司法の効率性を向上させることを提唱しています。

  1. 訴訟情報の回覧と利用の実現
  2. ii) 調停と公判手続の関連付け
  3. iii)  公判と執行手続の関係付け
  4. iv) 執行手続の効率性の改善

第3に、ブロックチェーンの接続性により司法連携を強化し、各種プロセス (弁護士資格の検証、判例の取り扱いにおける法的主体間の連携、執行に関する部門横断的な連携など) を促進することを提唱しています。

第4に、完全に統合されたブロックチェーン同盟に対する相互承認 と信頼性を利用することによって、経済・社会のガバナンスを推進することを提唱しています。このようにして、ブロックチェーン技術の適用は、知的財産の有効な保護、ビジネス環境の改善、データの開発・利用を支援するでしょう。

「見解」の目的は、知的財産、市場規制、不動産登記、取引、データ所有、オンラインデータ取引、金融機関、関連政府機関のための、ブロックチェーン・プラットフォームを基盤とする相互運用可能な連携の仕組みを積極的に構築することです。

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