中国の「首都版権協会」 (Capital Copyright Society (CCS) 、中国語表記: 首都版权协会) は、中国におけるクリエイティブ産業の発展の促進・強化を目的として2013年6月に設立されました。CCSは、著作権の分野における創作者や権利者、法律専門家やその他の関係者をつなぐ産業横断的な専門機関です。現在、400を超える法人・個人会員を擁し、その中には、11の国営の業界団体や協会、30を超える大規模オンラインスペシャリスト集団、3つの大規模出版団体や、ソフトウェア、映画・テレビ、音楽、建築デザイン、出版、ニュースメディア等に関わる多数のコンテンツ制作企業や個人会員が含まれます。
CCSは、中国での著作権保護に対する高いニーズにマッチした、大量案件に対応可能なオンラインの著作権保護・調停サービスの提供に重点を置いています。これらのサービスを通じて、著作権で保護された資産の管理・利用に関して、CCS会員をサポートしています。CCSが提供するサービスには、著作権の登録・認証、著作権の確認、訴訟における調査や証拠収集、著作権モニタリングや、著作権関連の紛争解決のための調停サービス等が含まれます。
CCSでは、侵害・訴訟リスクの分析評価の観点から会員の知財リスクマネジメントをサポートするだけでなく、この分野における専門的トレーニングも行っています。
CCSは2021年、730万件の作品について著作権モニタリングサービスを提供しました。また、侵害の疑いのある1167万件のリンクをチェックし、1011万件の侵害ページを削除しました。本サービスでは、著作権を所有する中小事業者のために無料で著作権モニタリングを行っています。また、合法なプラットフォームの利用に関するアドバイスや、著作権関連の紛争解決のためのサービスも提供しています。
2021年、CCSの紛争解決サービスでは、10,532件もの事件を処理・解決しました。6,230件で和解が成立し、和解金は1億5094万人民元に上り、和解率は59.15%でした。
新設の「北京著作権オンライン調停プラットフォーム」を通じたオンライン調停は、中国政府に承認された紛争解決サービスです。「調停」は、北京インターネット裁判所の監督下で、公正・迅速に決定を下し、記録できるようにするために権利者に提供されています。2021年、この新たなプラットフォームにより、3,130件の事件が処理され、解決率は96.7%でした。大量案件対応を可能にするこのオンラインシステムは、中国のデジタルクリエイターに対して迅速・確実・明確な法的判断を提供することが可能で、中国のクリエイティブ経済の隠れた価値を掘り起こす上で重要な役割を果たします。
CCSが提供する大量案件対応可能な著作権サポートサービスは、技術の発展とともに進化し続けます。例えば、オンライン型のモニタリング事業では、正確で詳細なサービスを実現しており、2022年末までに、さまざまな分野 (動画、音声、写真・絵画、記事等) において、さまざまな利用者向けにパーソナライズされたサービスを実現できる予定であり、サービス精度の向上も期待されています。
調停に関しては、北京著作権調停センターは設立以来、著作権管理局から強力なサポートを受けてきました。CCSは2022年、著作権管理局との協力を強化する一方で、北京インターネット裁判所との連携も強めました。北京インターネット裁判所は、オンライン調停プラットフォームを通じて紛争を解決できるよう調停人を支援します。また、北京インターネット裁判所による「司法確認」を受けることもできます。通常、調停による合意は、当事者間の契約であり法的拘束力はないものと考えられていますが、CCSでは、北京インターネット裁判所と協力して、調停の合意について「司法確認」を行うことができます。これにより、事件の両当事者は、法的に保証された文書を受け取ることができます。
2022年より、CCSは著作権者に対してオンラインの公証サービスも提供しています。本サービスを通じて、所有者は、リアルタイムで写真や動画を撮ることでより簡便に証拠収集を行うことができます。このオンライン公証プラットフォームでは、関連データはオンライン上に保存されます。さらに、所有者の要望があれば、公証人役場が法的文書を発行することもできます。
このように、CCSは、中小企業の著作権者に対して、モニタリングや調停、コンサルティング、訴訟等を含むより包括的な著作権サービスを、より簡便なルートで提供します。同時に、北京の各カルチャーパークでは、著作権業務ステーションを増やす取り組みが行われています。CCSでは、中小企業パークの文化的・創造的な製品を著作権保護の中心に位置づけており、中小企業の製品の著作権的価値を高めるべく奮闘しています。