アジアの若いデザイナーたちが、絵文字をデジタル言語として用い、コミュニケーションのやり方に革命を起こしています。中国のデジタルアーティスト、Li Binglu氏は、アジアが発祥の地である絵文字の「絵」と「文字」という要素に触発され、オーダーメイドのGIF絵文字を使って他のアーティストと効率的にコラボレーションしています。
Li氏は、Cai Quinge氏とパートナーを組み、文字言語による非効率なコミュニケーションではなく絵文字を使ってデジタルデザイナー間のコミュニケーションの問題を解決する取組を行っています。
「文章を使って仲間とオンラインでコミュニケーションをとることは、特に感情表現やポップカルチャーにおいて非効率的であり、とても難しいことです。この問題を解決するために、絵に込められた意味をすでによく知っているコミュニティで、絵文字を使ってコラボレーションすることにしました」と、Li氏は語ります。
Li氏とCai氏は、この作成のプロセスを記録し、2022年4月に開催された2022年世界知的所有権の日 若者 (ユース) のための動画コンテストに応募しました。このコンテストには、世界中から応募があり、ソリューションやインクルージョン (包括・受容) の実現のために若者がイノベーションや創造性を思う存分発揮しました。デジタル環境やリモートワークにおける絵文字の重要性を表した両氏の作品は、第3位に選ばれました。
Li氏は最終案を2時間で完成させたかもしれませんが、同氏の創作の過程はもっと長いものであり、自分自身の経験、ポップカルチャー、豊かな感情表現やユーモアに触発されたものです。デザインは、Li氏の姿をベースに、自分の性格を反映させたユーモラスな要素が加えられていると同氏は説明します。
「アニメーションデザイナーに特化したGIF絵文字がなかったので、自分で新しい絵文字をデザインしました。特に、ほとんどの人が在宅勤務をしなければならなくなった今、デジタルデザイナー待望の便利なコミュニケーションツールだと思います」と、Li氏は語ります。
感情やユーモアを表現する普遍的な非言語コミュニケーションツールである絵文字は、デジタル空間の拡大とともに飛躍的に普及してきました。Li氏は、技術の進歩に伴い、コミュニケーションの明瞭性を高める絵文字がますます重要になると指摘しています。
「絵文字は、世界でデジタル化が進展するのに伴い、急速に進化しています。当初、絵文字は、日々の暮らしの中で感情やアイデアに意味を付け加えるために用いられていました。しかし、現在では、言葉では明確に表現できない感情や概念を伝えるために絵文字を使うことが多くなっています」と、Li氏は語ります。
Li氏が受賞したビデオでは、知的財産 (知財) の創造が記録されています。知的財産は、無形資産の創作者に恩恵を与え意欲を高めるために保護されるべき貴重な資源であると同氏は述べています。
Li氏は、翻訳によって大切な意味が失われることがないよう、またコミュニケーションがうまくいかないことにより機会を失うことがないよう、さらに多くのGIF絵文字を作成する予定です。同氏は現在、主に日本の学校や大学向けに短編映画の監督や映像制作を行っています。