Admire Moyo氏は、ジンバブエの農業起業家であり、気候変動の影響をよりよく管理するための伝統的な農法に関する知識を深める機会を若手農家に提供するモバイルeラーニングアプリ、Gohoの考案者でもあります。
農業は、ジンバブエ経済を支える屋台骨であり、3330万ヘクタールの土地が農業に利用されています。また、国連食糧農業機関 (FAO) によると、ジンバブエの人口のほとんどが、農業を主な収入源としています。
農業経営に乗り出したいと考えている若者は多くいますが、たいていの場合、成功するために必要な農業情報を若手農家が簡単に入手することができません。家族経営が大半を占める農村で育ったAdmire Moyo氏は、情報の入手しにくさによる地域社会への経済的な影響を嫌というほど感じていました。アフリカ広域知的財産機関 (ARIPO) によるインタビューで、「農法に関する知識や市場へのアクセスが限られている農家もいます」と、Moyo氏は指摘しています。
この問題に取り組むため、同氏は、土壌の状態、作物、肥料、収穫方法、農機具や種子のサプライヤーなどの重要な情報に農家がすぐにアクセスできるアプリ、Gohoの開発に着手しました。現時点で、500を超えるユーザーがこのアプリをダウンロードしています。
Gohoアプリ (Gohoはショナ語で収穫を意味します) を使えば、必要な知識を農家が楽に入手できます。
「私はナーセリーを経営していますが、新しい農業技術について調べる必要がたまにあり、Gohoアプリから答えをもらっています」と、ジンバブエのグエルに住むKatikiti氏は説明します。
「Gohoアプリは、市場における農作物相場、作物の最適な植え付け時期や季節、農業投入物のサプライヤー、農作物の輸出ガイドなど、様々なサービスや情報を提供することにより、農家が直面している様々な問題に対応しています」と、Admire Moyo氏は説明します。
このアプリは、ジンバブエのムバレにある中央青果卸売市場、ムバレ・ムシカ市場の相場をリアルタイムで提供します。こうした市場動向をGohoアプリで常に把握することにより、若手農家は、農作物の収益を最適化し、事業を拡大し、地域経済の発展を支援することができます。
Gohoアプリは、気候変動による影響を農家が予測し対処することを促進することにより、農家の生計への影響を軽減することも可能です。「Gohoでは、輪作などの農法を通じて、気候変動が農家に与える影響を軽減するソリューションを提供しています。その結果、土壌構造の改善、土壌侵食の減少、温室効果ガス排出量の減少、水質汚染の減少につながります」と、Moyo氏は説明します。
Gohoアプリは、農家同士のコミュニケーションを促し、気候変動に関連する問題についての意見交換や周辺地域との情報共有、助言を行うことも可能です。特に、先住民の知識、慣習、価値観に基づいた現地での対応を可能にする上で有用であることが立証されています。
Gohoアプリでは、現在、農家が参加できるFacebookとTwitterの13のソーシャルグループにアクセス可能になっており、「SNSで農家同士がつながることのメリットは、貴重な情報を共有し、農作物を売り込むこともできることです」と、Moyo氏は述べています。
Moyo氏は、自分自身の事業、そしてもちろん自身がサービスを提供している農家の事業に対する知的財産 (IP) の重要性を認識しています。アプリ立ち上げの準備が完了するとすぐに、同氏は「Goho」を商標として登録することに取りかかりました。
「商標権によってGohoアプリを保護することは、私のブランドの信頼性を強化するための重要な第一歩であり、より多くの小規模農家が恩恵を受けられるよう、将来に向けた開発と展開をするための投資でした」と、同氏は指摘しています。