Healthbotics LimitedのCEOであるImodoye Abioro氏は、自分自身についてシリアル・イノベーターであり起業家であると定義しています。また、独学でIBM Cloudのソフトウェア開発者にもなりました。27歳のナイジェリア人医師である同氏は、アフリカの医療インフラを進歩させるための画期的なソリューションを開発しています。例えば、ナイジェリア初のスマート血液銀行ソリューション、Lend An Armや、ブロックチェーン上に構築されたアフリカ初のAI活用クラウドベース電子カルテシステム、Mediverseなどです。
イバダン大学で外科学を学んだImodoye Abioro氏は、人工知能 (AI) とデータを用いて持続可能な医療インフラをアフリカで構築することを志し、同大学の医学部を卒業後、医療技術で起業することを決意しました。
Pan African Visionsとのインタビューで、オンコールの医師として働いていた緊急治療室で親友が失血死したことがきっかけでイノベーションの道に進むようになったと、Abioro氏は説明しています。「親友の死に打ちのめされ、病院や医療システムが長年にわたり抱えている問題に対して何かしなければという思いに駆られました」と、同氏は語ります。
この悲劇的な出来事から、Abioro氏はイノベーションによって人々の命を救うという決意を固め、AIを活用したソリューションによってアフリカにおける医療アクセスの問題を解決する医療技術スタートアップ、Healthbotics Limitedを設立することになりました。
同社には2つの主力商品があります。1つ目はLend An Armであり、必要な血液の供給を患者が受けられるようにするためのものです。Abioro氏がLend An Armのアイデアを思いついたのは大学時代でした。当初は、学生に献血を呼びかける若者主導の取り組みとしてスタートしました。その後、このプロジェクトは、位置情報アルゴリズムを利用して輸血を必要とする病院や患者と血液銀行とをつなぐ携帯アプリに発展しました。「アプリとAIボットによって、輸血が必要な患者を抱える病院が血液銀行から血液を調達できるよう支援しています」と、Abioro氏は説明します。
この取り組みは、2020年Digital Entrepreneurship Competition (デジタル・アントレプレナーシップ・コンペティション) でノミネートされ、国連世界情報社会サミット (WSIS) の2021年情報社会世界サミット大賞 (WSA) を受賞しています。
Abioro氏の2つ目の代表的なイノベーションは、ブロックチェーン技術によって支えられたアフリカ初の音声制御型電子医療記録ソフトウェア、Mediverseです。
Mediverseによって、インターネットに接続できるかどうかにかかわらず、遠隔地にいる医療従事者も含め、あらゆるデバイスから音声で患者記録を入力し検索することが可能になります。「やりたかったことの一つは、パソコンやノートPC、タブレット、スマホなどから医師が音声入力で文字起こしできるようにすることでした。それを可能にするLukuというAIアシスタントを構築しました」と、Abioro氏は説明し、Mediverseでは「患者データをオフラインで取得し更新することができ、SMS経由で行うことも可能です」と述べています。
Abioro氏は、その業績により数々の賞を受賞しています。2020年には、African App Launchpad Cup Competition (アフリカン・アプリ・ローンチパッド・カップ・コンペティション) で1位となっています。また、同氏の医療スタートアップは、2020年デジタル・アントレプレナーシップ・コンペティションで高い評価を受けています。2021年には、国際製薬団体連合会 (IFMPA) のAfrican Young Innovator for Health Award (医療におけるアフリカの若きイノベーター賞) で3位となっています。
動画: Lend An Armがいかにしてナイジェリアにおける血液や血液製剤の提供に革命を起こしているか、ご覧ください。
2022年には、ナイジェリアだけでなく、ベナン、ガーナ、南アフリカにも展開する計画であり、Abioro氏は、データを用いてアフリカの医療の質を向上させるという夢を実現し続けています。「私は常に未来について考え、人々の命を救うために違う方法で何かできないかと考えています」と、同氏は語ります。
Imodoye Abioro氏は、「世界知的財産の日」特設ユース・ギャラリーで紹介されています。