刑事訴訟法(昭和二十三年七月十日法律第百三十一号)
最終改正:平成二二年四月二七日法律第二六号
(最終改正までの未施行法令)
平成二十一年七月一日法律第六十六号(未施行)平成二十二年四月二十七日法律第二十六号(一部未施行)
第一編 総則(第一条) 第五節 公判の裁判(第三百二十九条―第三百五十条)
第四章 即決裁判手続
第一節 即決裁判手続の申立て(第三百五十条の二・第三百五十条の三)
第二節 公判準備及び公判手続の特例(第三百五十条の四―第三百五十条の十一)
第三節 証拠の特例(第三百五十条の十二)
第四節 公判の裁判の特例(第三百五十条の十三・第三百五十条の十四)
第三編 上訴
第一章 通則(第三百五十一条―第三百七十一条)
第二章 控訴(第三百七十二条―第四百四条)
第三章 上告(第四百五条―第四百十八条)
第四章 抗告(第四百十九条―第四百三十四条)
第四編 再審(第四百三十五条―第四百五十三条)
第五編 非常上告(第四百五十四条―第四百六十条)
第六編 略式手続(第四百六十一条―第四百七十条)
第七編 裁判の執行(第四百七十一条―第五百七条)
第一編 総則
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
第一章 裁判所の管轄
第二条 裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。 第四条 事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。
第五条 数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属するときは、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
○2 高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
第六条 土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄することができる。但し、他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、これを管轄することができない。
第七条 土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送することができる。
第八条 数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。 第十二条 裁判所は、事実発見のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。
第十三条 訴訟手続は、管轄違の理由によつては、その効力を失わない。
第十四条 裁判所は、管轄権を有しないときでも、急速を要する場合には、事実発見のため必要な処分をすることができる。
○2 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。
第十五条 検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。一 裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。二 管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。
第十六条 法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判
所に管轄指定の請求をしなければならない。
第十七条 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。一 管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。二 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
○2 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。
第十八条 犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、最高裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
第十九条 裁判所は、適当と認めるときは、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送することができる。 第二章 裁判所職員の除斥及び忌避
第二十条 裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。一 裁判官が被害者であるとき。二 裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき。三 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人で
あるとき。四 裁判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。五 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となつたとき。六 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行つたとき。七 裁判官が事件について第二百六十六条第二号の決定、略式命令、前審の裁判、第三百九十八条乃至第四
百条、第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調べに関与したとき。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。
第二十一条 裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。
○2 弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。但し、被告人の明示した意思に反することはできない。
第二十二条 事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。但し、忌避の原因があることを知らなかつたとき、又は忌避の原因がその後に生じたときは、この限りでない。
第二十三条 合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。 第二十五条 忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第二十六条 この章の規定は、第二十条第七号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。
○2 決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第二十四条第一項の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をすることができる。
第三章 訴訟能力
第二十七条 被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。
○2 数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。
第二十八条 刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十九条又は第四十一条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しないときは、その法定代理人(親権者が二人あるときは、各自。以下同じ。)が、訴訟行為についてこれを代理する。
第二十九条 前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がないときは、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。 第四章 弁護及び補佐
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。 る。
第三十一条の二 弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。 第三十三条 被告人に数人の弁護人があるときは、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。
第三十四条 前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。
第三十五条 裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限することができる。但し、被告人の弁護人については、特別の事情のあるときに限る。
第三十六条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
第三十六条の二 この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。
第三十六条の三 この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
○2 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。一 被告人が未成年者であるとき。二 被告人が年齢七十年以上の者であるとき。三 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。四 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。五 その他必要と認めるとき。
第三十七条の二 死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。 第三十七条の四 裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十七条の五 裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第三十七条の二第一項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人一人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十八条 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
○2 前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。
第三十八条の二 裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止によるときは、この限りでない。
第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。一 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたと
き。二 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。三 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつ
たとき。四 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。五 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させる
ことが相当でないとき。 第三十八条の四 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。
第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。 第四十一条 弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をすることができる。
第四十二条 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。 第五章 裁判
第四十三条 判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。 第四十五条 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第四十六条 被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる。
第一章 裁判所の管轄(第二条―第十九条)
第二章 裁判所職員の除斥及び忌避(第二十条―第二十六条)
第三章 訴訟能力(第二十七条―第二十九条)
第四章 弁護及び補佐(第三十条―第四十二条)
第五章 裁判(第四十三条―第四十六条)
第六章 書類及び送達(第四十七条―第五十四条)
第七章 期間(第五十五条・第五十六条)
第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留(第五十七条―第九十八条)
第九章 押収及び捜索(第九十九条―第百二十七条)
第十章 検証(第百二十八条―第百四十二条)
第十一章 証人尋問(第百四十三条―第百六十四条)
第十二章 鑑定(第百六十五条―第百七十四条)
第十三章 通訳及び翻訳(第百七十五条―第百七十八条)
第十四章 証拠保全(第百七十九条・第百八十条)
第十五章 訴訟費用(第百八十一条―第百八十八条)
第十六章 費用の補償(第百八十八条の二―第百八十八条の七)
第二編 第一審
第一章 捜査(第百八十九条―第二百四十六条)
第二章 公訴(第二百四十七条―第二百七十条)
第三章 公判
第一節 公判準備及び公判手続(第二百七十一条―第三百十六条)
第二節 争点及び証拠の整理手続
第一款 公判前整理手続
第一目 通則(第三百十六条の二―第三百十六条の十二)
第二目 争点及び証拠の整理(第三百十六条の十三―第三百十六条の二十四)
第三目 証拠開示に関する裁定(第三百十六条の二十五―第三百十六条の二十七)
第二款 期日間整理手続(第三百十六条の二十八)
第三款 公判手続の特例(第三百十六条の二十九―第三百十六条の三十二)
第三節 被害者参加(第三百十六条の三十三―第三百十六条の三十九)
第四節 証拠(第三百十七条―第三百二十八条)