投資事業有限責任組合契約に関する法律 (平成十年六月三日法律第九十号)
最終改正:平成一八年一二月一五日法律第一〇九号
第一章 総則(第一条―第五条) 第二章 組合員の権利及び義務(第六条―第十条) 第三章 組合員の脱退(第十一条・第十二条) 第四章 組合の解散及び清算(第十三条―第十五条) 第五章 民法の準用(第十六条) 第六章 登記(第十七条―第三十三条) 第七章 罰則(第三十四条・第三十五条) 附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、事業者に対する投資事業を行うための組合契約であって、無限責任組合員と有限責任組合員との別を約するものに関する制度を確立することにより、事業者への円滑な資金供給を促進し、その健全な成長発展を図り、もって我が国の経済活力の向上に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「事業者」とは、法人(外国法人を除く。)及び事業を行う個人をいう。
2 この法律において「投資事業有限責任組合」とは、次条第一項の投資事業有限責任組合契約によって成立する無限責任組合員及び有限責任組合員からなる組合をいう。
(投資事業有限責任組合契約)
第三条 投資事業有限責任組合契約(以下「組合契約」という。)は、各当事者が出資を行い、共同で次に掲げる事業の全部又は一部を営むことを約することにより、その効力を生ずる。
一 株式会社の設立に際して発行する株式の取得及び保有並びに企業組合の設立に際しての持分の取得及び当該取得に係る持分の保有
二 株式会社の発行する株式若しくは新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は企業組合の持分の取得及び保有
三 金融商品取引法 (昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項 各号(第九号及び第十四号を除く。)に掲げる有価証券(同項第一号 から第八号 まで、第十号から第十三号まで及び第十五号から第二十一号までに掲げる有価証券に表示されるべき権利であって同条第二項 の規定により有価証券とみなされるものを含む。)のうち社債その他の事業者の資金調達に資するものとして政令で定めるもの(以下「指定有価証券」という。)の取得及び保有
四 事業者に対する金銭債権の取得及び保有並びに事業者の所有する金銭債権の取得及び保有
五 事業者に対する金銭の新たな貸付け
六 事業者を相手方とする匿名組合契約(商法 (明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条 の匿名組合契約をいう。)の出資の持分又は信託の受益権の取得及び保有
七 事業者の所有する工業所有権又は著作権の取得及び保有(これらの権利に関して利用を許諾することを含む。)
八 前各号の規定により投資事業有限責任組合(次号を除き、以下「組合」という。)がその株式、持分、新株予約権、指定有価証券、金銭債権、工業所有権、著作権又は信託の受益権を保有している事業者に対して経営又は技術の指導を行う事業
九 投資事業有限責任組合若しくは民法 (明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項 に規定する組合契約で投資事業を営むことを約するものによって成立する組合又は外国に所在するこれらの組合に類似する団体に対する出資
十 前各号の事業に付随する事業であって、政令で定めるもの
十一 外国法人の発行する株式、新株予約権若しくは指定有価証券若しくは外国法人の持分又はこれらに類似するものの取得及び保有であって、政令で定めるところにより、前各号に掲げる事業の遂行を妨げない限度において行うもの
十二 組合契約の目的を達成するため、政令で定める方法により行う業務上の余裕金の運用
2 組合契約の契約書(以下「組合契約書」という。)には、次の事項を記載し、各組合員はこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
一 組合の事業
二 組合の名称
三 組合の事務所の所在地
四 組合員の氏名又は名称及び住所並びに無限責任組合員と有限責任組合員との別
五 出資一口の金額
六 組合契約の効力が発生する年月日
七 組合の存続期間
3 組合に対してする通知又は催告は、組合の事務所の所在地又は無限責任組合員の住所にあててすれば足りる。
(登記)
第四条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
2 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
(名称)
第五条 組合には、その名称中に投資事業有限責任組合という文字を用いなければならない。
2 何人も、組合でないものについて、その名称中に投資事業有限責任組合という文字を用いてはならない。
3 組合の名称については、会社法 (平成十七年法律第八十六号)第八条 (会社と誤認させる名称等の使用の禁止)の規定を準用する。
4 有限責任組合員は、その氏、氏名又は名称を組合の名称中に用いることを許諾したときは、その使用以後に生じた組合の債務については、無限責任組合員と同一の責任を負う。
第二章 組合員の権利及び義務
(組合員の出資)
第六条 組合員は、出資一口以上を有しなければならない。
2 組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができる。