2023/04/27
WIPOは2023年に、FIT/日本知的財産グローバルファンド (FIT/Japan IP Global) の支援を得て、持続可能な開発目標 (SDGs) の達成に向けた各知財庁による優れた取組に関する調査を完了し、その研究成果をまとめた報告書「Implementing the SDGs in national intellectual property systems (各国知財制度におけるSDGsの取組)」を公表しました。
WIPO日本事務所の委託によるこの調査研究は、FIT/日本知的財産グローバルファンドからの支援を受け、国連SDGsに関するWIPO特別代表と協力して実施され、各国における知財政策・施策とSDGsの関係を明らかにするとともに、SDGs達成に貢献する知財の創出・保護・活用を促進するために国内・広域知財庁が採用しているさまざまな取組を特定することを目的としています。この調査は、1次情報 (各知財庁から直接得た回答) と2次情報 (刊行物) に基づいて行われました。
この調査報告書から、世界中の知財庁が、程度の差はあれ、その国の知財制度の運用にSDGsを取り入れた形跡がみられることが分かります。例えば、持続可能な技術の開発を促進するために最も幅広く採用された施策の例としては、当該技術分野の特許出願の早期審査の導入が挙げられます。また、この調査を実施した知財庁のほとんどで電子出願 (e-filing) が普及しており、このことは、紙の書類の作成・取扱量の削減、すなわち「SDGs目標12」に貢献するものでした。また、知財庁の大半は、その業務にAIや関連技術を導入することでデジタル化を有効活用しており、案件処理の効率化や分類作業の補助、分析能力の強化を図っています。さらに、いくつかの知財庁では、教育・ダイバーシティ・インクルージョンに関連する「SDGs目標4」および「SDGs目標5」の取組が進んでいる形跡もみられました。
SDGs達成に向けた各知財庁による優れた取組の詳細については、報告書をご覧ください。