ブルーテック・アワード：革命的な空気洗浄テクノロジーによる大気汚染への取り組み

世界保健機関（WHO）によると、大気汚染は世界最大の環境脅威であり、毎年世界中で最大900万人が亡くなっています。

大気汚染および温室効果ガスの排出は、石化燃料の燃焼という同じ根本原因を共有しています。クリーンエア目標を達成するためには、エネルギー構造、産業構造抜本的な改革、そして、よりクリーンな輸送モード、よりエネルギー効率の良い建物が必要になります。これらの分野の進歩が、気候変動の抑制に大きく役立ちます。

他の多くの発展途上国と同様に、中国は深刻な大気質問題を抱えています。中国の都市の3分の2が基本的な大気質基準を満たしていません。中国政府が大気質に懸命に取り組むと同時に、世界で最高の空気清浄テクノロジーを特定し、それらを中国における潜在的なユーザーおよび企業パートナーのニーズに適応することが、最初に取り組むべき2つの重要な課題となります。そのため、2015年にブルーテック・クリーン・エアー・アライアンス（Bluetech Clean Air Alliance 、BCAA）がブルーテック・アワードを設立しました。この賞は、最先端の国際的な空気洗浄テクノロジーを中国に持ち込み、中国の大気汚染問題に対処することを目的としています。

年に１度のこの賞では、世界中から空気洗浄テクノロジーの応募を募集しています。その目的は、財政的に実現可能で、実証済みの大気質を改良する能力を備えた最先端の高性能技術を特定することです。

BCAAは、テクノロジーが客観的および科学的に選ばれるようにするため、実生活における実用的な結果に基づく厳密な評価方法を開発しました。この方法は、文書審査、専門家の分析、実地検査、研究所のテストで構成されています。

受賞したテクノロジーは、中国での迅速な普及と開発を加速するために、企業、研究、政府のリソースへのアクセスに関してBCAAの支援を受けます。支援には以下が含まれます。：

知的財産の能力構築、高品質な特許戦略の展開
中国にて現実世界でのテクノロジーのデモンストレーション
潜在的なビジネスパートナーや投資家とのマッチメイキング
オンラインおよびオフラインの関連販促活動の運営

2015年以降、20か国以上の300件以上のテクノロジーがこの賞を通じて評価されてきました。そして、BCAAは、100社以上のコラボレーターとの国際的なネットワークを築き上げてきました。この期間、28のブルーテック・アワード、14のブルーテック・フューチャー・スターズが、モニタリング、超低排出ガス制御、石炭燃焼による汚染制御、室内空気、揮発性有機化合物（VOC）の制御、ディーゼルエンジン汚染制御の6つのテクノロジー分野から選出されました。

受賞したテクノロジーの多くが現在中国やその他の地域で使用され、大気質の改善に大きく貢献していると同時に、天候変動の影響の緩和にも役立っています。

イノベーションと知的財産権

ブルーテック・アワードは、世界的な環境課題に対処するために設計された社会的イノベーションです。このプログラムは、大気汚染のトピックに関して、テクノロジー企業、現地の政府機関、投資家、法人客、専門家、メディアを含む複数のステークホルダーによるコラボレーションを可能にする一方で、革新的な評価方法により認証された可能な限り最高の技術の適用を通じて大気汚染問題の解決に対する取り組みを推進します。ブルーテック・アワード・プログラムは、2018年のハーバード大学ロイ・ファミリー・アワード環境パートナーシップ部門にノミネートされ、最終選考に残りました。

ブルーテック特許企業支援および保護プログラム

中国の空気洗浄テクノロジーセクターの迅速で高品質な発展を推進するため、2017年、BCAAはブルーテック受賞者およびその他の関連洗浄テクノロジーに対する「特許起業支援および保護プログラム」を設立しました。このプログラムは、主に環境に優しいテクノロジーの移転などを通じて、特許の商業的価値を活用する方法に関して、環境に優しいテクノロジーの提供者の間で知的財産に関する認識を促すサポートをします。

2018年7月、BCAAはWIPO GREENの戦略パートナーとなりました。WIPO GREENは、世界知的所有権機関（WIPO）が管理する環境に優しいテクノロジーのためのオンライン・マーケットプレイスです。

環境に優しいテクノロジー関連の知的財産に対する認識の高まり

BCAAは環境に優しいテクノロジー企業、企業支援、投資ファンドの間で認識を高める重要性を強く認識し、知的財産に関するトレーニングプログラムおよびパネルディスカッションを定期的に開催してきました。その一例として、2019年6月、BCAAは学界、約40社のテクノロジー企業、投資ファンド、起業支援から知的財産の上級専門家や洗浄テクノロジーの専門家を招集するトレーニングイベントを開催しました。

特許の価値を活用する予備計画

ブルーテック・アワードを通じて特定された洗浄テクノロジーの迅速な発展および取り込みを促進するために、BCAAはいわゆる「高価値特許育成の予備計画」シリーズを開発してきました。これらの計画のもと、知的財産のプロフェッショナルや環境の専門家が、革命的な環境に優しいテクノロジー企業に協力し、特許および商品化戦略を発展する方法、イノベーションシステムをアップグレードし、効果的な知的財産システムを確立する方法についてアドバイスします。

ブルーテック・コラボレーション・ネットワーク

ブルーテック・アワードは現在、20か国からのコラボレーターによる国際的なネットワークを誇っています。私たちは、以下組織からの支援に心より感謝しています。：

中国環境保護産業協会 – 車両排出ガス対策委員会
中国環境保護産業協会 – VOC汚染制御対策委員会
中国環境化学協会 – 揮発性有機化合物の汚染防止および管理専門委員会
廈門環境保護車両排出ガス管理技術センター
中国化学薬品産業およびエンジニアリング協会– 水性塗料委員会
中国電気自動車充電技術および産業連合
中国高速道路および交通協会
3iPET 国際環境技術プラットフォーム
TEDA低炭素経済推進センター
中国機械・環境産業開発センター
中国エネルギー協会ESCO 委員会
IEエキスポ
日本国際協力機構
日本貿易振興機構
IVLスウェーデン環境研究所北京駐在事務所
大気・水管理協会（米国）
米国-中国クリーン・テック・センター
英国貿易＆投資
英国クリーン・エア・アライアンス
VERT協会（スイス）
スイス・クリーン・テクノロジー・アソシエーション
ワールド・フューチャー・カウンシル（ドイツ）)
フランス商工会議所
クリーン・クラスター・デンマーク
中国文化デスク（オーストリア）
イタリア商工会議所
大気質と健康に関する国際研究所（オーストラリア）
連邦科学産業研究機構（オーストラリア）
ニュージーランド貿易・企業
地域環境イニシアチブのための国際評議会（韓国）

環境への影響

ブルーテック受賞テクノロジーの大半が、中国やその他の地域でうまく使用されています。あるテクノロジーが大気汚染の削減に直接的な大きい影響を及ぼす一方で、別のテクノロジーが二酸化炭素排出削減に大きく役立っています。また、その他の可能テクノロジー（モニタリングテクノロジーなど）は環境指標の改善に間接的に貢献しています。

行動を呼びかける

2020年世界知的財産の日を記念し、環境に優しい発明者、投資家、スタートアップ企業、その他ステークホルダーの間で知的財産に対しての認識を促すため、BCAAはWIPO中国事務局、北京市知的財産庁、北京航空航天大学のグループに参加し、「環境に優しいイノベーションのための知的財産」に関するトレーニングプログラムを提供しています。

このプログラムは、中国の環境に優しいテクノロジーの専門家が、国際的なハイテク企業が採用している知的財産戦略について理解を深め、以下を実践するのに役立つよう設計されています。：

• 知的財産財務への様々なアプローチを理解する
• 環境に優しいテクノロジー移転のベストプラクティスを検索する
• 国際知的財産制度およびその使用方法について学ぶ

様々なステークホルダーグループからの約100人の訓練生と交流します。

このイベントの支援団体：国家エネルギー節約センター、中国環境保護産業協会、中国金融銀行協会グリーンファイナンス委員会、世界自然保護基金（WWF）。