マドリッド制度: 国際商標出願を行う – 商品・役務の分類について
具体的かつ適切な商品・役務について商標を保護することは、貴社の現在および将来のブランド・アイデンティティにとって非常に重要です。商品・役務の適切な分類は、最初からブランド戦略の必須項目として考えましょう。
先を見据えた計画: 貴社のブランドが将来的にどこを目指し、その評判が高まるにつれて新たにどのようなサービスにまで展開する可能性があるか、検討しましょう。
ヒント: 国内/広域商標登録の出願時から、eMadridのGoods and Services Manager (「MGS」) に登録されている予め認められた用語を使用することもご検討ください。MGSに準拠した用語を使用することで、後に国際商標登録の出願を行う際に手続にかかる時間を減らすことができ、結果として時間と費用を削減することができます。
初めから適切な分類で手続することが重要
ご存知でしたか? 国際商標登録で指定できる商品・役務のリストは、国内/広域商標出願または登録 (「基礎商標」) のリストに基づきます。
国際商標登録の保護範囲は、基礎出願・基礎登録よりも狭くすることはできますが、広くすることはできません。ヒント: 基礎商標がカバーする商品・役務の範囲内であれば、国際商標出願において多少異なる用語を使用することができます。詳しくは、「Guide to the Madrid System (マドリッド制度に関するガイド)」をご参照ください。
国内商標登録に含まれていない商品・役務について追加で国際保護を受けたい場合には、まず、本国の知的財産庁を通じて新たな国内/広域商標出願を行う必要があります。
WIPOの分類支援ツール
- ニース分類 (標章の登録のための商品・役務の国際分類) をご覧ください。この制度では、商品・役務は第1類 (化学品) から第45類 (法律業務) までの45の区分に分類されます。
- eMadrid(「Build goods & services (商標・役務リストの作成) 」) からGoods and Services Manager (「MGS」) を利用することで、これまでに既に認められている何千もの用語から適切な語を選んで、商品・役務リストを作成・確認することができます。これにより、不正確な用語が使用されているとの理由でWIPOから欠陥通報を受けたり、各知財庁から暫定的拒絶通報を受けたりするリスクを削減でき、速やかに商標の保護を受けることが可能になります。
ヒント:MGSで特定の用語が見つからない場合は、eMadrid(「Explore goods & services (商標・役務を探求) 」) から利用できるGoods and Services Explorer (商品役務名検索) において用語検索をすることで、その用語が過去10年間にWIPOおよび主要な知財庁によって何回受け入れられたかを言語別に調べることができます。
商品・役務の確認が行われる3つのステップ (WIPOおよび各知財庁)
1. 国際商標出願の本国認証 – 本国官庁による分類の確認
本国官庁では、国際商標出願に含まれる商品・役務が、国内/広域商標出願等の範囲内であるかどうか確認します。
2. 国際商標出願の方式審査 – WIPOによる分類の確認
WIPOでは、方式審査手続の一環として、国際商標出願に含まれる商品・役務が、ニース分類における適切な区分に対応付け・分類されているかどうか確認します。
WIPOが適用する原則・ルールの例
類見出しにおける「大まかな表示 (general indications) 」を利用して商品・役務を記載することができます。
例: 第12類の見出し: 「乗物;陸上、空中又は水中の移動用の装置」
一部の用語は、複数の区分に分類することができます。
例: 「脱臭装置」は以下の区分で認められます。
- 第11類: 「脱臭装置 (個人使用目的でない) 」を含む
- 第21類: 「脱臭装置 (個人使用目的) 」を含む
「特に (in particular) 」、「すなわち (namely) 」などの用語を使って、商品・役務を特定・限定することができます。
例:
- 第9類: 「コンピュータソフトウェア、特に、コンピュータゲームソフトウェア」
- 第12類: 「自動車、すなわち、スポーツカー」
- 第44類: 「庭園の手入れ;景観の設計;芝生の手入れ;公共の公園・庭園に関連する上記サービス全て」
詳しくは、審査ガイドライン [PDF]をご覧ください。
3. 国際商標登録の実体審査 – 各知財庁
商標の国際保護を求めるマドリッド制度の各締約国の知財庁では、国際商標登録について、商品・役務の範囲の確認を含む実体審査を行います。
注: ニース分類で使われている用語であっても、明確性・正確性欠如を理由として、各知財庁で認容されない場合があります。ただし、通常、このような問題に対する回避策はあります。例えば、以下に示すように、認容され得る別の記載方法があります。
第7類 (類見出し): 「機械、工作機械…」
解決策: 機械・工作機械の機能や用途を特定する。例: 「電気式じゅうたん洗浄機」、「金属加工用工作機械」
第9類 (商品):「ダウンロード可能なバーチャル衣服」
解決策: もっと具体的に記載する。例: 「バーチャル衣服のダウンロード可能な画像ファイル」
第42類 (役務):「コンピュータソフトウェアの貸与」
解決策: ソフトウェアの機能、内容または利用分野を特定する。例: 「財務管理用コンピュータソフトウェアの貸与」、「カードゲーム用コンピュータソフトウェアの貸与」
ヒント: 商標の国際保護を求める国での分類に関する具体的な要件・制限の詳細については、eMadridの「Madrid System Member Profiles (締約国情報データベース) 」をご覧ください。
関連情報
- 動画: 「Understanding the Classification of Goods and Services (商品・役務の分類について) 」 (ウェビナー録画動画) (英語)