新型コロナウイルス感染症(COVID-19)最新情報:マドリッド制度
2020年10月30日
2020年3月25日初回発行(以後編集あり)
世界知的所有権機関(WIPO)では、商標の国際登録に関するマドリッド制度に基づく業務を継続して行います。WIPOは、ユーザー、知的財産庁、その他ステークホルダーが直面している一時的な課題を、現在の困難な状況にも関わらず、最小化するよう取り組んでいます。WIPOのオンラインダッシュボードより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下における当機関の業務をモニタリングできます。
詳細情報:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するWIPOニュース
WIPOでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に対して講じられた措置により想定される混乱がマドリッド制度のユーザーに影響を及ぼす可能性を認識しています。そのため、本ページ上にマドリッド制度ユーザーのための全関連情報をまとめました。またこれらの情報は、指示が公開され次第、随時更新されます。
適切な措置がPCTおよびハーグ制度にも講じられています。詳細情報については、該当の各登録制度のウェブページをご確認ください。
目次
- 救済措置および期限延長(2020年4月22日更新)
- WIPOからの郵便通信の再開(2020年7月22日)
- WIPOへの様式の電子申請:署名(2020年5月15日追加)
- 認定文書および抄本業務の再開(2020年7月20日更新)
- マドリッド制度加盟国の知財庁が適用している措置(2020年10月30日更新)
- 事業の継続性および対応を確保するためのマドリッド制度オンラインサービス(2020年7月20日)
マドリッド制度ユーザーに対する救済措置および期限延長
マドリッド制度が定める期限を厳守できない場合の救済措置についてお知らせします。また、知的財産庁が閉庁している場合、期限は自動的に延長されます。
WIPOへの連絡期限を厳守することができない場合の救済措置
COVID-19の感染拡大に対して講じられた措置(例えば、都市の封鎖、隔離、自主隔離など)により、特定の地域では郵便業務や配達業務、電子通信などを利用できない場合があります。
この場合、商標の国際登録に関するマドリッド協定に関する協定議定書に基づく規則(以下「規則」)第5(1)、(2)、(3)に基づき、WIPOへの連絡期限を厳守できなかった出願者、名義人、知財庁に対しては、郵便業務、配達業務、電子通信が再開された後、5日以内に連絡をすれば、免除される場合があります。いかなる場合であっても、WIPOは、当該期限満了日から6ヶ月以内にその通信を受領する必要があります。
WIPOは、COVID-19関連の問題について記載されている当規則の規則第5に基づいて行われた全ての依頼を優遇し、出願者、名義人、知財庁がそれに関する証拠を提出することを要求しません。</p>
当規則の規則第5は、規則または条約に基づく期限があるWIPO宛の連絡に適用されます。例えば、以下の連絡事項が該当します。:
- 知財庁による国際出願または事後指定の送付
- 知財庁による暫定拒絶の通知
- 出願者、名義人、知財庁による国際出願または記録の依頼における欠陥の修正
国際登録の更新費用の支払いに関する猶予期間を含む、WIPOへの料金の支払い期限も当規則の規則第5の対象となります。したがって、これは、マドリッド制度に基づいて認可されている支払い方法(例えば、WIPOの予納口座からの引き落とし、またはWIPO銀行または郵便口座への振込による支払い)に関してWIPO に連絡する際にも適用されます。国際登録の更新費用の支払いに関する猶予期間を含む、WIPOへの料金の支払い期限も当規則の規則第5の対象となります。したがって、これは、マドリッド制度に基づいて認可されている支払い方法(例えば、WIPOの予納口座からの引き落とし、またはWIPO銀行または郵便口座への振込による支払い)に関してWIPO に連絡する際にも適用されます。
WIPOが当該期限の満了から6か月以内に連絡、指示、または支払いを受け取ることができるように、出願者、名義人、知財庁は迅速に対応してください。
ユーザーは、オンラインサービスまたはContact MadridよりWIPOに対する依頼の提示や問い合わせができます。
処理の継続
規則1 第11(2)、(3)、第20bis(2)、第24(5)(b)、第26(2)、第34(3)(c)(iii)および第39(1)に定める、またはこれらで言及される期限を満たさない名義人や出願人は、WIPOに対して国際出願、事後指定、支払いまたは請求処理の継続を要求できます。この場合、理由や証拠を提示する必要はありません。
出願人や名義人は、要件を満たし、上記期限満了日から2ヶ月以内に様式MM20をWIPOに提出することにより、処理の継続を要求する必要があります。
締約国の知的財産庁の閉庁
締約国の知的財産庁が閉庁する場合、閉庁する事実を閉庁期間と併せてWIPOに通知する必要があります。また、当該通知書にて(または開庁日が決まり次第速やかに)、次の開庁日を通知しなければなりません。
規則第4(4)では、知的財産庁が閉庁している間に満了した期間は、知的財産庁の次の開庁日に満了することが定められています。暫定拒絶通報発出期間等、マドリッド制度が定める知的財産庁に関する全ての期限は、名義人が官庁から送付された通報に応答するための期間(例えば、知的財産庁からの暫定拒絶通報への応答期間)を含め、延長されることになります。
知的財産庁には、柔軟な対応方法に関する追加情報や、国際登録の名義人に提供される期限に関する救済策について情報提供することを強く推奨します。
WIPOは締約国の知的財産庁から正式に受領した関連情報を公表しています。
WIPOからの郵便通信の再開
新型コロナの感染が世界中で拡大している一方で、スイスの感染状況は落ち着いており、郵便業務および公的業務が再開しました。そのため、ユーザー満足度を考慮し、WIPOは郵便によるサービスの大部分を再開します。
WIPOは、メールアドレスを通知していないユーザーに対して、書面送付による連絡を再開しました。また、2020年3月以降の郵便業務の中断によりWIPOが書面でユーザーに送付できなかった全通知のバックログも郵便で送付しました。
メールアドレスを通知済みのユーザーには、全ての連絡が送信されており、今後も引き続き、これまでどおり電子形式で送信されます。電子形式で認定文書、抄本、証明書を受け取り、さらにWIPOにハードコピーを依頼したユーザーの場合、該当のハードコピーは郵便にて送付されています。
郵便サービスの中断中に出願人、名義人、またはその代理人に宛てられた連絡および認定文書
出願人、名義人およびその代理人には、マドリッド制度に関する連絡を電子的手段でWIPOに送信することをお勧めしています。Madrid Portfolio Managerのアップロード機能を使用するか、Contact Madridを使用して、WIPOに依頼の連絡をすることができます。また、オンラインサービスの使用も強く推奨しています。今後数か月にわたり、より多くのオンラインサービスを提供する予定です。
WIPOは現在の状況を考慮して、まだWIPOにメールアドレスを通知してない出願人、名義人、代理人に対し、マドリッド制度に基づく電子コミュニケーションを受信するためのメールアドレスを通知するよう要請しています。出願人は国際出願にメールアドレスを記載することも可能です。まだメールアドレスを提供していない出願人、名義人、代理人はContact Madridを通じてメールアドレスを提供することができます。また、国際登録に関して、WIPOでメールアドレスが記録されているかどうかをMadrid Monitorで確認することもできます。
WIPOへの様式の電子申請:署名
マドリッド制度のユーザーは、名義人または代理人の手書きの署名がある様式を電子送信できない場合、署名を印刷、入力、捺印で済ませることができます。または、シールを貼って代用することも可能です。手書きの署名は必須ではありません。ただし、通常通り、Contact Madridサービスを介して送信する必要があります。
認定文書および抄本業務の再開
WIPOは2020年7月13日より認定文書、抄本業務、合法化業務を完全に再開しました。
7月13日よりWIPOは以下の文書およびサービスを配信します。:
- 国際登録証明および更新証明の認定コピー
- 認証
- 詳細な認定抄本
- 簡単な認定抄本
- 文書の合法化
- 優先サービス
2020年3月31日から7月12日までの期間、WIPOは以前に電子メール(PDF 形式)で配信していた文書のコピーを書面で、できるだけ速やかに送付します。
2011年1月1日以降の日付の国際登録の名義人および代理人は、Madrid Portfolio Managerを使用して国際登録および更新の認定書の簡単なコピーを無料でダウンロードできます。
マドリッド制度加盟国の知財庁によって講じられた措置
知財庁がWIPOに関連する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の関連情報を正式に通知した場合、その情報はInformation Noticesを通じて発信され、Madrid Member Profiles Databaseにて公開されます。また、WIPOのCOVID-19 IP Policy Trackerを使用すれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対策として知財庁が適用している全ての措置を確認できます。
知財庁の再開
- Intellectual Property Agency of the Republic of Azerbaijan(アゼルバイジャン共和国)
- Cuban Industrial Property Office (OCPI)(キューバ)
- Madagascar Office of Industrial Property (OMAPI)(マダガスカル)
- State Agency on Intellectual Property (AGEPI) of the Republic of Moldova(モルドバ共和国)
- Slovenian Intellectual Property Office (SIPO)(スロベニア)
- Spanish Patent and Trademark Office (OEPM)(スペイン)
- Directorate of Industrial and Commercial Property Protection (DCIP) of the Ministry of Internal Trade and Consumer Protection of the Syrian Arab Republic (シリア・アラブ共和国)
- National Office of Intellectual Property of Viet Nam(ベトナム)
知財庁の閉館
- Antigua and Barbuda Intellectual Property and Commerce Office (ABIPCO)(アンティグア・バーブーダ)
- Superintendence of Industry and Commerce (SIC) of Colombia(コロンビア)
- Greek Trademark Office(ギリシャ)
- Office of the Controller-General of Patents, Designs and Trademarks of India(インド)
- Italian Patent and Trademark Office (UIBM)(イタリア)
- Mexican Institute of Industrial Property (IMPI)(メキシコ)
- Intellectual Property Office of the Philippines (IPOPHL)(フィリピン)
- National Institute for Standardization and Industrial Property (INNORPI) of Tunisia(チュニジア)
延長、停止、その他の一時的措置
- African Intellectual Property Organization (OAPI) (アフリカ)
- Austrian Patent Office (APO)(オーストリア)
- Italian Patent and Trademark Office (UIBM)(イタリア)
- Spanish Patent and Trademark Office (OEPM)(スペイン)
- United States Patent and Trademark Office (USPTO)(米国)
ユーザーは、Madrid Member Profiles Databaseにて、マドリッド制度加盟国の知財庁の法律および実務に関する詳細情報を確認できます。
ビジネスの継続性と対応を確保するためのマドリッド制度オンラインサービス
オンラインで取引を行う場合、出願人、名義人、代理人には、Madrid System e-ServicesまたはContact Madridを可能な限り使用することを強く推奨しています。
Madrid Portfolio Manager
Madrid Portfolio Managerはマドリッド制度に基づく国際登録のポートフォリオを管理する最も効果的なツールです。このツールがあれば、ユーザーは国際出願、有効な国際登録および失効した国際登録を確認し、Madrid Monitor上でそれらのステータスを監視し、履歴を閲覧し、国際登録認定証を含む全ての文書の電子コピーをダウンロードできます。また、ユーザーはまた、国際登録を更新し、事後指定を提示し、有効な国際登録の記録を依頼することもできます。
現在の状況を考慮し、出願人、名義人、代理人には国際登録の管理にMadrid Portfolio Managerを使用することを強く推奨しています。
Madrid Portfolio Manager を初めて使用する場合は、専用のウェビナーから開始方法について確認してください。
その他の主なオンラインサービス:
- Madrid Monitor 、国際登録および関連依頼 のステータスをリアルタイムで確認し、全通知の電子版を検索できる 。
- Madrid Member Profiles Database、マドリッド制度加盟国の知財庁のステータスを確認できる
- Email Notifications 、国際出願または登録(暫定拒絶、欠陥通報など)に関する通知メールのコピー(PDF形式)を受信する。WIPOからの電子コミュニケーションを受信するためのメールアドレスを提供していない場合は、Contact Madridを通じて送信される。
国際商標の登録ライフサイクルの各ステージでユーザーをサポートするために設計されたMadrid e-Servicesの全てについてご確認ください。
質問またはコメント
質問、様式、その他の依頼などございましたら、Contact Madridよりご連絡ください。